悪魔も喘ぐ夜
*
視線を向けるとクロードはブレザーの内
ポケットから大玉のキャンディのようなも
のを取り出していた。
人が食べる大玉のキャンディよりは幾分
か大きい赤い球体が透明な個装袋に入って
いる。
俺が見つめているのに気づいたのかクロ
ードはそれを俺に見せてくれた。
「…これか?
これはな、固形ローションやねん。
体温で溶けて、ええ具合に潤わしてくれ
る優れものや」
“ローション”その響きにビクッと腰が
震えた。
それをどう使うのかを考えればもう諦め
るしかない。
「っ…。どうしても…?」
「…うん?何が?」
震える声に何を聞かれているのかわから
ないという顔をされる。
「すっ…吸いたいだけなら頑張る、から…
…。頑張って全部出す、から…。
だから…」
今すぐ逃げ出せるなら逃げ出してしま
いたい。
自分からこんな恥ずかしいことを言う
日がくるなんて夢にも思わなかった。
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