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悪魔も喘ぐ夜
*


 ようやく『保健室』のプレートが見えた

時には、もう下着の中は気持ち悪いほどに

ぐっしょりと自らの体液で濡れていた。


 それでも熱量を吐き出せない下半身が早

く早くと足を急かす。

 もうこの地獄から解放してくれるなら何

をされてもいい…体の火照りはすっかり頭

の芯まで蕩かしていた。


 保健室には鍵がかかっていなかった。

 クロードがドアを開けると、机で何か書

いていた若い女性の養護教諭が顔を上げて

こちらに歩み寄ってきた。

 あんまりな状況になっている下半身を見

られたくなくてとっさにクロードの背中に

隠れる。


「あら…どうしたの?

 具合悪くなった?」


 それでも回り込んで顔色を窺ってくる優

しい先生に何も言えずに俯く。

 今春赴任してきたばかりの保健室の先生

は若くて美人だという噂はあっという間に

広がり、一部の生徒には“保健室の女神”

と呼ばれている。


 これ以上どこかに歩くのは辛い。

 でもいくらクロードの能力があるからっ

て、この先生がいる部屋でカーテン一枚隔

てた向こうで乱れるなんて…耐えられな

い。


「ふ…二人きりが、いい」


 クロードのブレザーの裾を掴んで声を絞

り出す。

 クロードならその能力でそれが可能なん

じゃないか…そんな気がした。


 そんな俺を振り返って、クロードはふっ

と笑った。


「かわええなぁ…。

 ええよ?駆のおねだり聞いたるわ」


 その笑顔の、なんと黒いことか。

 悪魔のようだ。

 …いや、淫魔だから悪魔なのだろうけれ

ど…。





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あきゅろす。
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