悪魔も喘ぐ夜
*
確かなのは、頼んで手を引いてくれるよ
うな相手じゃないということ。
股間を揉む掌が、明らかに股間のテント
をさらに内側から持ち上げさせようと手を
速めている。
授業中、一人では教室を出て行くことも
出来ない状況で、その気になった掌から逃
れられる術はない。
「ほなら、口開き?
気持ちええの飲ませたるよ。
俺の舌を食いちぎろうなんて気にはもう
ならへんやろうし」
「っ…。
ここからなんて…歩け、ない…っ」
トドメを刺してやろうと笑う目に、泣き
たい心持ちでイヤだと首を振った。
忘れたかった昨日の玄関先でのことを思
い出す。
あんな状態でここから保健室まで歩けな
んて…本気で言っているのか。
「心配せぇへんでも歩けへんかったら俺が
支えたるよ」
ニッコリと笑う笑顔が“優しいやろ?”
と同意を求めてきて、俺は言葉を失って…
それでもここで続きをされたくないなら覚
悟を決めるしかなかった。
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