悪魔も喘ぐ夜 * どうする…。 ダメ元で飛ぶか? それとも一度上って村に戻るか…。 しかし未だ底が見えないまま飛ぶなんて 自殺行為だ。 仕方なく奥歯を噛み締めてロープを上り …かけたら手が汗で滑った。 ズルッ!! 体を支えるものがなくなって一瞬ふわっ と体が浮き、濃い霧の中へ吸い込まれてい く感覚に陥る。 落ちるっ…!! 反射的に体が強張り、拳を握りしめた。 『お兄ちゃん…!!!』 どこか遠くで聞き覚えのある声が聞こえ た気がした。 ビクッ!! 自分の体の痙攣に驚いて目が覚めた。 心臓の鼓動を煩い。 そこが自分の部屋の自分のベッドだと気 づいて、間もなく鼓動のスピードも正常に 戻っていった。 身動きがしずらいと思っていたら、いつ の間にか麗が腕の中で眠っている。 俺が寝ている間にでも忍び込んできたん だろう。 兄貴と違って本当に添い寝だけが目的だ ろうから、特に咎めることもこともないだ ろうけど。 [*前][次#] |