悪魔も喘ぐ夜 * 「…そんでな、ムカついたから一発かまし たってん。 “そういう陰でコソコソ陰口叩いとる奴 が一番腰抜けや!”って」 「うん…」 上機嫌でクロードが話を続ける一方で、 俺は上の空で相槌をうつ。 夕暮れの帰り道、駅への曲り道をとっく に過ぎてまだクロードは喋っている。 もうすぐ俺の家に辿り着きそうだという のに、まだ喋り足りないというようにずっ と話し続けている。 どこまでついてくる気なんだろう…。 何度も“駅はこっちじゃないだろ”って 言っても、“大丈夫、大丈夫”と繰り返す ばかりで、すぐにクロードは話を戻す。 俺の家からまた駅前まで歩くとしたら、 クロードからしたらとんだ大回りだ。 女子じゃあるまいし、危ないから家まで 送ってくれる…というのも考えにくい。 クロードが何を考えているのか分からな いまま、先を歩くクロードの後を追うよう に歩く。 [*前][次#] |