悪魔も喘ぐ夜 * 「…じゃあ、次の英文を誰かに読んでもら いましょうか。 えっと…クラウディウス君」 英語の授業中、先生に指名されたクロー ドは立ち上がって教科書を片手に流暢な英 語を話し始めた。 本場のイントネーションは綺麗に整って いて、いつもの変な口調が嘘のようだ。 「…せんせ? これどこまで読んだらええの?」 言われてハッと気づいた先生がクロード の発音を絶賛して着席するように言う。 どうやら聞き惚れていたらしい。 席についたクロードだったが、授業も半 ばまで進んでいるのにノートは真っ白。 黒板の文字を書き写すつもりがないのか 筆記用具さえペンケースから出していな い。 「…ノートとらないのか?」 こっそり聞いてみると肩を竦められた。 「今の聞いて、何かノートに書く必要があ るように見えるん?」 …思わないけども。 「あっちで飛び級して大学のカリキュラム 修了してるから、ほんまはこんな学校入 り直す必要なかってん」 初耳だ。 [*前][次#] |