悪魔も喘ぐ夜
*
兄貴を押しのけ、鞄で前を隠すように持
ちながら歩き出した。
この際歩きにくさなんて構っていられな
い。
兄貴はそんな俺の横に並んで涼しい顔で
歩き出した。
勝手だ、と思う。
兄貴が本気を出したら俺が抗えないこと
を知っていて、あえて好きにさせるという
名目で掌で転がして遊んでいるのだ。
家に帰りつけば、そのまま兄貴の部屋に
連れ込まれて、ベッドに押し倒されてしま
うのだろう。
ようやく体を熱くしていた媚薬の効果が
切れた頃に、再び注ぎこまれて奥まで貫か
れて、それを気持ちいいと体は感じてしま
うのだ。
…わかっている。
それが淫魔の体質で、本来の“食事”の
為に威力を発揮するものだと。
それが逃れられるほど弱いなら、淫魔は
生きて行けないだろう。
だけど…。
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