悪魔も喘ぐ夜
*
「今までずっと言わなかったけれど…
母さんはね、人間ではないの」
母さんの話は、そんな突拍子もないとこ
ろから始まった。
一瞬、日本語がわからなくなったのかと
思うほどに母さんの言葉には迷いがない。
「日本の言葉に訳すと、“淫魔”という種
族になるかしら。
他者の生気を少しずつ分けてもらって、
それを糧にする種族」
淫…魔…?悪魔ってこと…?
唐突過ぎて、突拍子なさすぎて、頭がつ
いていかない。
本かマンガの世界の話じゃないのか。
「だからあなたたちの体にも、多かれ少な
かれ淫魔の血が入ってる。
厳密に言えばあなたたちも純粋な人間で
はないわ。
秀や麗は人が本来持たない能力ももって
生まれてきた。
駆…あなたにももしかしたらそういう能
力があるのかもしれないわ。
今はまだ眠っているだけの能力が」
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