悪魔も喘ぐ夜 * 「…家族が、いい。 父さんがいて、母さんがいて、 兄貴がいて、麗がいて…。 喧嘩して、仲直りして…、 そういう家族に戻りたい…」 それは願い。 二人の願いとは相反する、願い。 でもそれが俺の…偽りのない気持ちだ。 「駆…あなたの気持ちは分かったわ。 私たちも気持ちは同じ。 でもね…とても残念だけど…それはきっ と無理だわ」 静かな声がそっと俺の願いに蓋をした。 何故、と顔を上げると、悲しげな顔をし た母さんと目が合う。 その目が、悲しいほどに澄んでいた。 「今から母さんが話すことは、駆にとって は受け入れがたいことかもしれない。 信じられないかもしれない。 でもどうしても…聞いてほしいの。 あなた自身の為に」 [*前][次#] |