悪魔も喘ぐ夜
*
「いくら待っても他に選択肢なんてないで
しょう、駆?」
“さぁ…”見下ろしている目が促す。
なんで。
なんで。
なんで…。
「なん、で…?」
それだけは知りたかった。
何故、そんな目で俺を見るのか。
何故、そんな関係を望むのか。
今までのように仲の良い兄弟じゃダメな
のか。
でも一方で聞くのが怖い。
聞いてしまったら本当に後戻りできない
気がして。
何が的になっていたのかも、
何が引き金だったのかもわからず、
すでに撃たれた弾は弾倉には戻らないけ
れども。
知りたいような、知りたくないような、
恐ろしい気持ち。
「…………」
その唇が動いた。
俺の問いへの答えを。
耳元で悪魔が囁いた気がした。
“さぁ、堕ちておいで…”と。
[*前]
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