[携帯モード] [URL送信]

悪魔も喘ぐ夜
*


「ねぇ、お兄ちゃん…。

 ぼくを頼ってよ。

 ぼくを必要として?

 ぼく、お兄ちゃんの為ならもっともっと

 強くなるよ。

 お兄ちゃんに優しくする。

 ぼくの全身全霊で、お兄ちゃんを守る」


 俺が唇を塞ぐ為に出した手にも麗はそっ

とキスをする。

 騎士が王女に忠誠を誓ってするキスのよ

うに。


「…麗に守ってもらわないといけないほど

 貧弱じゃないつもりなんだけど…」


 年下の弟の背中に隠れて守ってもらうな

んて考えたこともない。

 あまりに情けなさすぎる。


「でも無防備だよ。

 兄さんに簡単に好き勝手させちゃうでし

 ょ?」

「ぐ…」


 反論できなかった。

 一方でそんな俺を見てクスクス笑う麗は

俺が知らない大人びた空気を纏っている。


「ねぇ、お兄ちゃん?

 お兄ちゃんは何が一番怖いの?

 兄さんに人身御供みたいなことしてま

 で何を守りたいの?」


 麗の真摯な目が俺を見つめる。

 その問いに即答できなくて、答えを探し

て黙り込む。





[*前][次#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!