悪魔も喘ぐ夜
*
「兄さんはするって言ったら、きっと実行
するよ。そういう人だから。
でも、お兄ちゃん嫌でしょう?」
動けない俺の頬に麗の指先が触れた。
頬から滑るように指先を動かして唇に触
れた。
「だからね、ぼくが守ってあげる。
兄さんからお兄ちゃんを守ってあげる
よ」
麗が身をかがめて唇を近づけてきた。
その唇に手をあててストップをかける。
「麗、どこでそれを…。
どこまで知ってるんだ?」
「ふふっ。秘密だよ。
でも、きっとお兄ちゃんよりは兄さんの
ことを知ってる」
麗は子供のように笑った。
昔、お菓子の隠し場所を探し当てた時の
ように無邪気に。
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