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悪魔も喘ぐ夜
*


 精を解き放ってしまえば下半身に疼いて

いた熱は気怠さに変わった。

 荒くなった呼吸を整えながら余韻にしば

らくボーっとしていた。

 一人でするのなんかとは大違いで、まだ

頭がついていききれていない。


「たっぷり出しましたね。そんなに溜めこ

んでいたんですか?」


 意地悪く揶揄する声に振り返って恨む。

 終わってしまえばもういつもの調子が戻

ってきて、ようやく思考がまともに動き出

すと目線を動かしてティッシュペーパーの

箱を探す。


「べ、別にいいだろっ。

 そんなことより早く拭かないと」

「……甘い?」


 脈絡もなくいきなり何を言いだすんだろ

うと兄貴を振り返ったら、こともあろうか

俺が放ったばかりのものを舐めていた。


「ちょっっ!何やってんだよ、兄貴っ!」


 慌てて机の隅にあったティッシュの箱を

掴み寄せるが、すでに兄貴は不思議そうな

顔で掌の白濁をほとんど舐め終えていた。

 クールで淡白なイメージだった兄貴が繰

り返すありえない言動も、終わってしまえ

ばいつも通りだろうと思ったのに……違っ

た。


「な、何やってんだよ、兄貴!

 そんなの汚いから舐めなくていいって」


 もうほとんど残ってはいなくても気休め

にとティッシュを箱から数枚引き抜いた。

 その瞬間、椅子が後ろに引かれてから回

転した。

 椅子は後ろに立っていた兄貴と向き合う

角度で止まり、バランスを崩して慌てて股

を広げて床に足をついた俺の膝の間にすか

さず兄貴が体を割り込ませてきた。 


「うわっ?!

 ちょっ、兄貴、危ないっ」


 予告なしの動きに口を尖らせていられた

のもつかの間だった。


「あ、兄貴っ?!ダメだって…!」


 精を放ったばかりで白く汚れているその

先端が躊躇しなかった兄貴の口内に包まれ

る。

 イッたばかりで敏感になっているそこを

僅かな飛沫さえ残すまいというかのように

執拗に舐めまわされたらたまらない。





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あきゅろす。
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