悪魔も喘ぐ夜 * 「触れていい、お兄ちゃん?」 “シャワーの後で”そう言ったけど、麗 は今がいいと言って聞かなかった。 触れるだけの唇が繰り返し降ってくる。 “恋しい”と繰り返し囁くように。 知らない間に着せられていたパジャマの ボタンに麗の指がかかって、兄貴がとめた であろうボタンを今度は麗が外していく。 「赤くなってる…。 いっぱい触られたの?」 昨夜赤くなっていると咎めた兄貴は繰り 返しそこを弄って、そこが今麗の視線に晒 された。 昼は麗に、夜は兄貴に。 体は休まる時を与えられずに、その痕跡 が消える暇もない。 しかし兄貴に差し出すものを差し出さな ければ不安だと繰り返す麗には他の物では 通用しない。 体は一つしかないのだからしょうがない …そう諦めるしかない。 諦めるというよりは開き直るしかない。 [*前][次#] |