好きって気持ち。
〈1〉
「ロロ?ここはこうじゃなくて、最初にχを他の記号に置き換えてから計算するんだよ。」
「あっ!そっか…」
「もう一度やってごらん?」
指摘された通りにやり直して、もう一度見てもらう。
「こ…う…かな?」
「どれ?……うん、あってる。」
「大体分かったか?」
「うん!ありがとう兄さん///」
良くできたと頭を撫でてくれる優しい兄。
兄さんは何かあると、いつも僕の頭や頬を撫でる。それが凄く心地よくて、大好きだった。
「他に解らないところは?」
「えっとこれも…なんだけど…」
「これは―――――」
兄さんはとても頭が良くて、学校でもトップクラスの成績をとってる。
僕は勉強とかあまりできなくて、でも解らないところは何時も兄さんが教えてくれるから、なんとか着いていけてる感じ…
兄さんはとても優しい…
僕のことを何時も気にかけてくれて、優しくしてくれる。
迷惑かけてばかりなのが凄く嫌だ…
兄さんの役に立ちたいけど、何でも兄さんの方ができるから、僕が何かすると何時も邪魔になっちゃうんだ。
あっ……顔が…近い…
ロロは少し頬を赤くし、ボーっとルルーシュの横顔を見た。
兄さん…とても綺麗…
僕も色白い方だけど、兄さんの白さは…透けるみたいで、なんか幻想的な感じがする…
「ロロ…解りにくかったか?」
ロロが何も言わなくなったので、自分の説明の仕方が良くなかったのではないかとルルーシュは心配になる。
「ううん!そんなことないよ!兄さんの説明は何時も凄く分かりやすい。兄さんは先生にもなれるよ!」
ロロは力一杯ルルーシュを褒めた。
「ふふっ大絶賛だな。」
力説するロロを他所にルルーシュはクスクス笑っている。
「本当だよ?僕は本当にそう思ってるんだ!!」
「ありがとう。でも俺はお前の先生だけで手一杯だよ。1人しか見られない先生じゃダメだろ?」
ルルーシュはそう言ってその場を茶化した。
本当にそう思ったのに…
「さぁロロ、そろそろ休憩にして夕食にしよう。お疲れ様、ロロは頑張り屋だな。」
今度はロロの頬を撫でてやった。
兄さんに褒めてもらえるなら、僕はいくらでも頑張れる。
少し冷たい兄の手の感触にうっとりと目を細め、ロロはそんなことを思った…
夕食は何時も2人で作る。ていっても僕はアシスタントをするだけで、料理は兄さんが作るんだけど…
今日はオムライスだった。お互いにエプロンをして、キッチンに立つ。
1人だったらきっと面倒だと思うようなことでも、兄さんと一緒なら何でも楽しかった。
「味はどうだ?」
「すっごく美味しいよ///」
「良かった…」
ルルーシュは嬉しそうに頬を緩ませる。
その表情を見てるととても幸せな気持ちになれた。
後片付けは僕の仕事。
「ロロ、手伝おうか?」
「いいから兄さんはゆっくりしてて!」
「すまないな…」
「これは僕の仕事だよ♪」
張り切って汚れた食器をキッチンへ運ぶ。 兄さんに少しでも恩返しができるようにしたい。
僕は何時も兄さんに守られてるから…
片付けを終え、順番にお風呂に入る。
家では大体夜の10時にはそれぞれの部屋に戻るようになっていた。
「じゃあロロ、おやすみ。」
「うん、おやすみ…」
本当はもっと一緒にいていろいろ話したい…でもワガママ言って兄さんを困らせたくないから我慢する。
おやすみを言ってからそれぞれの部屋へ戻った。
****
眠れないな…
ロロは自分のベッドに横たわり、じっと天井を見つめる。
そして愛しい兄のことを考えていた。
勉強を教えてもらってる時、兄さんの顔が間近に見えて、凄くドキドキした。
綺麗だなって思ったのもそうだけど、あの時よくわからない感情が心の中にあった気がする。
ぎゅってしたい…
あの時そう思った。
もっと兄さんの近くにいたいって…
最近兄さんといるとドキドキしてばかりだ。
今までも兄さんが僕の1番だったけど、ここのところ何かその意味が変わってきているのは確かだと思う。
喉…渇いたな…
ベッドにいても寝付けないロロは部屋をでて、何か飲もうとキッチンへ向かった。
兄さんはもう寝たかな?
そういえば、兄さんの寝顔ってほとんど見たことない気がする。
きっとお姫様みたいに綺麗な顔で眠るんだろうなぁ…
そんなことを考えながらコップにジュースをつぎ、飲み終えた時、背後から声をかけられロロはビクっと肩を震わせた。
「ロロ?どうしたんだこんな時間に…」
「あっ…兄さん!」
「ごめんね。起こしちゃった?」
「いいや、ちょっと生徒会の仕事が残っててな。今から寝るとこだよ。」
既に時計の針は深夜の12時をまわっていた。
「僕が勉強教えてなんて頼んだから…」
自分のせいで、ルルーシュがこんな時間まで起きていないといけなくなったのだと気づく。
楽をさせてあげたいのに、結局いつも足を引っ張ってしまう自分にどうしようもなく腹が立って、その苛立ちを悟られないように俯いた。
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