やっぱり愛しいスウィートハート(ルル誕)
僕から君へ。



パーティーもいつの間にか終わりに近づいていた。楽しい時間は本当にあっと言う間に過ぎてしまう。



今日の内にランペルージさんの笑顔を何回見られたかな。普段は大人しくてその上ポーカーフェイスだから、感情の変化とかを読み取るのが大変だったけど、今日の彼は表情だけじゃなくて全身から嬉しいとか楽しいとかそんな感じのオーラが沢山出ていたと思う。



普段もこのくらい表情にでればきっともっといっぱい友達ができるのにね。僕としてはランペルージさんが他の人と仲良くするのはあんまり嬉しくないけど、ランペルージさんはきっととても喜ぶ。
だって僕っていう友達が一人できただけで、こんなに柔らかい表情を見せてくれるんだから。



ランペルージさんの家に来てからは特にいろんな顔を見ることができた。ちゃんと話せてるし。そりゃ当たり前か…



ランペルージさんが学校で喋らないのには何か理由があるのかな。もう少ししたらまた聞いてみたい。



「兄さん、これ僕とナナリーから!」



小さめの包みを手に持って弟くんがランペルージさんの前へ腕を突きだす。弟くんの手は少し震えていて、緊張しているみたいだった。どこか不安げな顔をしていた弟くんも、ランペルージさんがプレゼントが入った箱を開けて中を確認した時の笑顔を見て直ぐに満開の花を咲かせた。



何をもらったんだろう。取り出さずに中を覗いているから僕には中身が見えないや。



「ありがとう…すごく…うれしい……大切にする…」

「鳴らしてみて!」


「うん。」



中から出てきたのは綺麗に飾り付けられた小さな箱で、一見小物入れみたいにも見えるけど…
箱の後ろに着いていたネジをクルクル回している様子からすると、これは…



ネジを最後まで回し終えるとランペルージさんはその箱の蓋を徐に開ける。



流れてきたのは優しい音色。鈴の音のように線の細い響きなんだけれど、その音楽は確かに僕達の耳に届いて、聞く人を温かい気持ちにさせてくれる。



それはまるでランペルージさんの笑顔のような、そんなほっこりさせてくれる音楽で、とても綺麗なオルゴールだった。




「兄さんこの曲好きだったから、一目みた時にこれだって思ったんだ。」



「中を覗いてみて下さい、とっても可愛いんですよ。」



箱の中では可愛らしい小さなお人形さんたちがダンスを踊っている。音楽に合わせて、とても楽しそうに。


「ロロとナナリーみたい…」


「そう言われてみれば何となく…」


「本当ですわ、気づきませんでした。」



踊っているお人形さんは男の子と女の子が一人ずつ。ホントになんとなくだけど双子ちゃんに似ていて、そのことは一層ランペルージさんを喜ばせたんだ。




「次はママの番よ!はい、ルルーシュ!」



張り切って何か大きな物体を持ってきたお母様。ドサッと大袈裟な音をたてて机の上に乗せられた紙包みは、置かれた時の感じからして本みたいなんだけど…



そうとうでかいよ?これは。



「…母…さん、これ…まさか…」


「そうそのまさかよ!」



「僕はこういうのは別の機会にすればいいっていったのに、母さん聞かなくて。」



「どうして?ルルーシュずっと欲しがってたのよ?」


僕の前で繰り広げられるまさかについての論争に、訳もわからずハテナマークをいっぱい飛ばす。



こんな大きな本読んだことも見たこともないよ。僕が読んだら何年かかるか…



そしてドでかい本は紙包みを剥がされたことによってその正体を表したんだ。



「ろっ六法全書!?」


「そうよ、スザクくん。立派でしょ?ルルーシュ前からこれが欲しいって言ってたのよ。」



「ランペルージさん弁護士になりたいの?」



「…ぁ…そう…いう…わけじゃ……その…読ん…でみたく…て…」



こんなのが読みたいなんて…頭良い人が考えることはちょっとわからないな…


「そうなんだ。僕も少しは勉強しないとランペルージさんに置いてかれちゃうな、はは。」



笑い事じゃないよこれは…ランペルージさんのこと見てるとたまに泣きたくなるんだ、切なくて。



絶望した僕は少し俯き加減になって、自分の爪先を眺めていた。ランペルージさんはそんな僕の腕を引っ張り、顔を覗き込んでこう言ったんだ。



「くる…るぎくん…は……そのまま…がいい!」


「っ!!」




急に浴びせられた告白のような台詞に僕も驚いたけど、周りはそれ以上に驚いたようで、部屋に微妙な空気が流れる。


あわわわわ!どうしようそんなこと言われたら僕勘違いしちゃうよ!
ほら、もう、また胸がドキドキしてきたじゃないか!


「あっありがとう!そっそそそそうだ!僕からの誕生日プレゼント!これ、さっきの本にはつけられないけど、普段ランペルージさんが読んでるやつになら合うと思うし!」



慌てて話を変えたせいで声がひっくり返っちゃった;もっとかっこよく渡す予定が…
正直、今までのプレゼントと比べられたら本当にしょうもないものだけど、でも気持ちだけは一杯詰まってるから!



「…」



僕からのプレゼントを受け取ってくれたはいいけど、それを手に持ったままランペルージさんは動かない。


あっ…あれ?
この反応は…?



どうしよう…
何か失敗したのかな?




「え〜っと、これブックカバーね。ランペルージさん本好きだからと思ってこれにしたんだけど……」



そう付け足してはみたものの彼の反応は希薄で、やっぱり微動だにしないでいる。流石に僕もいたたまれない気持ちになって彼に少しだけ近づいて、名前を呼んでみた。



「ランペルージさん…?」


すると消えてしまいそうに微かな声が僕の耳に届く。


でも本当に小さい声だったからちゃんと聞き取れなくて、僕は彼の方へもう一歩だけ近づいて首をかしげてみせた。







「…たから…もの…」




接近してきた僕の耳元でたった一言だけ。



小さな小さな一言だったけど、ランペルージさんは目尻に涙を滲ませながら宝物と、そう言ったんだ。







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