12 ――男が立ち止まって先に口を開く。 私は、この一言で肩の力が抜けた。 「文化の民――今、新しい地を探しているところです」 「仲間は?」 男は、疑いの眼差しで私を見た。 普通、文化の民は、ある程度の大人数で行動する。 ――呪われた民のように。 「今、野営地を作っています。私は、食料を探しに来ていました」 「一人で?」 定住の民の地でもない場所で、普通は一人で行動しない。 リズがいるけど……リズみたいな子供とは出歩かないし……。 「一人じゃないけど……」 「じゃあ、他の人は?」 男はまた一歩、私に近づく。 私は、警戒心をあらわにして、怯えてみせた。 男は、進むのをちょっと躊躇う。 ――チャンス!! 私はついでに、涙目にしてみた。 [*前へ][次へ#] |