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「あっ、目覚めたね。気分はどう?」
黒髪のぽっちゃりした女の人が、私の顔を見つめていた。
「ありがとうございます……大丈夫です」
「血色もよくなったし」
そう言って女の人は、微笑んだ。
「あたしの名前は、ローザ。あんたを運んだ男の母親だよ」
「わ……私の名前は、エルシーです。ありがとうございますと、息子さんにもお伝え下さい」
「お礼なんて言う必要ないよ」
ローザさんは顔をしかめた。
「あいつがあんたを怖がらせちゃったんだから、助けるのは当然だよ! あんなに顔色の悪かったあんたをほっといたら、あの場で倒れてたかもしれないからねぇ」
そう言ってエルシーの前髪に軽く手を置いた。
「あんた、文化の民だってねぇ?」
「はい」
「ごめんね、はぐれさせちゃって」
「あぁ……良いですよ。息子さんに会った時、既に一緒にいた人とはぐれちゃってて……」
「でもねぇ……1人にさせちゃってなんだか悪いよ」
そう言ったローザさんの表情は、本当に罰が悪そうだった。
確かに、1人になって、正直困っている。
杖も無いから、連絡手段も無いし。
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