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【覇弥雄side】
護りたい…ふとした瞬間に沸き上がった凛への想い
何か弱みを握られたみたいで、凛の傍へと自分の体が自然と寄せられていく
「よしよし…」
温かくて、凄く心地よかった
ここから抜け出せないと思える程に。
凛の力に俺は最初からお手上げ状態だったらしい
頭を撫でる手を止めさせると、凛には敵わないと負けを認めて
これ以上ないくらいに
最高に満面の笑みを凛に贈った。
「凛が…好きだ」
そう自分が誰かに想いを伝える日が来るなんて自分自身想像もしていなかった。
俺にとって凛は大切な…
それから、数日後。いつもの朝を迎えて朝からあの煩いが定番になった声が響く
「じゃ、僕もハヤオンって呼ぼうかなーいいよね?はーやーおんっ」
辺りにハートを飛び散らせながら手を合わせて可愛い子ぶる柚希
昨日の出来事を話さないうちにどうやら情報を手に入れたらしい顔をしている。
「お前は引っ込んでろ」
「ごめん覇弥雄。多分ね、柚希は昨日モデルの凛ちゃんが撮影をドタキャンしたみたいで」
「拓也は悪くねぇよ。にしても…ドタキャンしてまで、凛ならやり兼ねねぇな」
「あーっちょっと!僕を差し置いての世界禁止ーっ!!てか、凛ちゃんに会わせろぉーハヤオンの馬鹿ー!!」
間を駆け回る柚希に再び天罰を加えたという事は言うまでもない
「ていうか、いつの間にか興味ないって言ってた覇弥雄の彼女になってたしー。今日はお仕事だって?」
一人のファンだったためか、腕組みをして恨めしげに顔を覗き込みながら余計にでも詰め寄ってくる
「前代未聞だよねー、ハヤオンったら大胆なんだからー」
両手を広げ"はーあ"とため息を漏らす柚希
癖なのか覇弥雄は前髪を掻き上げる
「てめぇに言われたくねぇよ。つーかその呼び名やめろ」
そんな時、肩をちょんと突かれる
「覇弥雄、良かったね」
自然な笑顔でそう耳元で囁くと拓也は自分の後ろを興奮する柚希に気付かれないよう指で差し示すなり、じゃあねと手を振る。拓也は柚希の背を押しながらそこから立ち去っていった。
指差された場所に立っていたのは
「わぁ、お友達たくさんだね。ハヤオン」
ふと聞こえた彼女の声
紛れも無く…自分が愛おしく想いはじめた凛の姿があった
「これからは、私がいるから一人じゃないよ」
その凛の言葉が、ずっと心の中で周囲の音をも無にしてしまうくらい、長く大きく響いた
いつだって凛は、自分が心に留めておきたいと思った言葉を…声を引き出す力を持っていた
(ありがとう、)
「なんて誰が言ってやるか……ばーか」
横を向けば
また 可笑しそうに凛は笑っていた
「ふふっ、照れ屋なばーか」
自然と自分も可笑しくて笑っていた
また 焔炎国の陽が照らしていく
これからもずっと
俺が、らしくなく
凛との永遠を望んだ日
-END-
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