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【凛side】



赤髪だった。

ということもあったけれど

あたしは彼の隣に居てあげたいと直感的に思い立った…気付いた時にはもう君に声をかけていて、両手で頬に触れていた。

そう、自分は決してか弱い女じゃない、寧ろ君に当てられた通り強気な女。

そういう君は…強気なあたしと同じ。きっと寂しくって心では泣いているんだよね?
だから余計にでも惹かれたのもある

「これっ電話番号、暇な時でもいいからかけてみてね」

「…ふーん」

赤い髪も赤い瞳も綺麗すぎて話している彼に見惚れてしまう。電話番号の書かれた紙をじっと見つめているけど、真っ直ぐに見られてしまったらきっと萌え死にさせられてしまうかもと思わせる程に彼の瞳は魅力的だった。

「お前も変わった奴…。初対面でここまでするとか」

「それは君も。逃げないんだもんね、普通に話しかけてくれたりするし」

商店街から少し離れた場所にある公園のベンチに座って、そんな会話を互いに続けていた

「逃げないのは、お前が気に入ったから…とか言ったら?」

「へぇー…て、ちょっ」

気付けば一瞬のうちに強く抱きしめられていた。突然の事に驚いて、相手から声をかけてもらえるまで硬直してしまっている

「…嫌いだったら、謝る…」


クールで大人っぽい態度を見せたと思えば子供っぽく自分にしがみついてたりする。
啄(ついば)むように息もつかせない程、激しくも優しい濃厚なキスをされたけれど、

あたしは自然と覇弥雄を受け入れていた

ただ温かくて、唇を離した後に見た君の赤くなった顔を見たら
まるで君を憎めなくなった

「…、苦しかったら言えよ凛」

「言えなくしてたのは覇弥雄のほうでしょ」

「知るか」

君の瞳の中に自分がいて、もしかしたら君の瞳と同じくらい自分の顔が赤くなっていたかもしれない。

「ね、もしかして覇弥雄の家族って皆赤い髪?全く親の顔が見てみたいよ」

そう意地らしくごまかす様に笑って言ってみせた、けど覇弥雄の赤い瞳は切なそうに私を見ていた

「俺……一人暮らしだし、兄貴はたまに帰ってくるけど」

寂しさに耐えて、耐えすぎて

まるで、今にも悲しく「助けて」と鳴きだしそうな仔犬のよう。
ただ訳もなく覇弥雄の首に手を回す

君は少しだけあたしの肩に埋まり黙っていた

「あんま優しくすんな…俺」

顔が近くにあって、覇弥雄は凛の横髪をゆっくりと耳の後ろに優しくかけてそのままゆっくりゆっくりとその指先で首筋までなぞっていく。

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