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そして花国城前に到着したレグルスとラオン。門番の兵士達と同時に会釈をすると城の中へと案内される。

「レグルス王子様!」

とその時、まるでルビーのような紅色の髪をした女性が両手を合わせくるりと振り返る。

「クレトニウムお嬢様がどうしてここに?」

「予感がしていましたの、レグルス王子様が私に会いにくる!と」

そう言ってクレトニウムと呼ばれた女性は両手で頬を挟み、照れ臭そうに目をつむる。

「誰もあなたに会いにきたのではないと思うわ、クレトニウム」

「あ、ランちゃん」

長い階段を下りながらこちらに歩いてくるランビの声を聞いた途端、クレトニウムの表情が豹変した。

「いいえ、違いないですわ!レグルス王子様は私のため足を運んで下さったのですわ」

「そう思っていればいいわ」

クレトニウムの前に立ちランビは面と向かってそうはっきり言い切る、クレトニウムは悔しそうにしながらも翻りその場から離れて行った。

その様子を見守っていたレグルスはくすっと笑うとランビの元へと歩いて行く。

「いつぶりかな、こうしてランちゃんに会えたの」

優しい笑みを向けるレグルス、ランビはその顔をじっと見つめた後ふっと笑う。

「私からも…会いに来てくれるなんて嬉しいわ、レグルス」

「…うん」

そう頷きランビをそっと抱きしめると、兵士達の視線に気付いたのか、レグルスは抱き返してきたランビの行動に照れ臭そうにしながら真っ赤になった顔を隠すようにランビをより一層強く抱きしめる。

「…苦しい」

「あ、えっとご、ごめん!…痛かった?」

「大丈夫。心配は無用だけれど」

そういえば、と何か思い出したのか、レグルスは辺りを見回す。その様子をランビは不思議そうに見つめていた。

「ここにラオンと二人で来たはずなんだけど…」

それを聞いたすぐ後、ランビは目をつむってうっすらと笑う。

「ラオンの事、リンスに会いに行くのが目的だったんじゃないかしら?」

「あ、そっか」

にしても、物音を一切立てずに気付かれもせずにこの場を去ったラオンはさすが元スパイ役と感心する。

「ランちゃんも鋭いね」

「ラオンは昔からそうじゃない」

お互い笑い合いながら、ふと窓の外の雪が目に入る。

「雪、花国でも降ってるんだ」

ランビもその言葉につられるように窓の外を見つめた。

「花の国でも降っている、みたいな言い方」

「うん…花の国でも降ってるよ。俺、こうやってランちゃんと一緒に見れただけでも幸せだな」

「…馬鹿ね」

レグルスは、ぽつりと呟いてくすっと笑ったランビの顔を見つめてから再び窓の外を眺める。

「ふわふわ…か」

「…何の事?」

「あ、いや、こっちの話で」

「そう」

この世界に雪が降り積もってゆくみたいに、いつか心の中にもゆっくり優しく、音を立てずに幸せが積もっていって…本当の幸せにたどり着く。

今、君の視線の先に見えているものは俺と一緒なんだろうと考えるだけで…本当に幸せな気持ちになる。

だから俺は、今も

君の瞳に恋してる


-END-

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