君の瞳に恋してる
◎レグルスとランビ
雪が優しく舞い降り、緑の世界を白く塗り替えていく時、レグルス王子は部屋の中からその様子をただずっと見つめていた。
「にゃー」
すると、一匹の子猫がレグルスの足元に擦り寄ってくる。彼は優しく微笑むと両手で子猫を持ち上げて抱き抱える。
「ラシュも一緒に見ようか」
「にゃーお」
ラシュと呼ばれた白い子猫はレグルスの腕の中で返事をするかのように鳴いた。
ふとレグルスはふわふわしたラシュの姿を見て彼女を思い出す。
「ランちゃん…今何してるのかな」
「にゃー」
頭を撫でながらランビの名前をぽつりと呟き、その視線はまた外で降り続く雪に戻された。
「花国へ…行きますか、レグルス王子様」
隣にひょっこり現れたルロウに対してレグルスは内心驚いてはいたが、自分の護衛者である少年ルロウに優しく微笑む。
「ルロウが俺を連れて行ってくれるの?」
その表情にルロウは見惚れる。が、はっと我に返ると静かに頷き会話を続けた。
「瞬間移動ですけど、ランビ姫の元に兄ルネもいますから帰る時はルネに言って下さい」
「んじゃ、行こうぜ。花国」
突如、どこから入ってきたのか、ラオンはそう言うとレグルスと肩を組む。
「レグちゃんの事だから、ふわふわ子猫みたく、ラン姫に会って抱き締めたくなった的な感じだろ」
「ちょ…っ」
「なーんつったりなんかして」
ラオンは悪戯っぽくレグルスの顔を横目でちらりと覗くと、それを聞いたレグルスの頬は林檎色に染まっていた。
「…ラオンの行く意味が僕にはわかりません」
途端、見るからに嫌そうな眼差しをラオンに送るルロウ。そんなルロウの視線に気付いたラオンはニッコリ笑う。
「俺にもスゲェ会いたい彼女が居んの、了解?」
そう言ってルロウの頭をぽんぽんと叩く。するとルロウは斜め下を向き、はぁ…と溜め息をついた。
「今日だけ…兵士には僕から何とか言っておきます」
「お、意外に素直」
「…ラオンだけジャングルに飛ばします」
「それは無しで」
そんなルロウとラオンのやりとりが進む中、レグルスは机の上にある大切な紙を綺麗に揃えている。
「すぐに帰れるようにするから…後、よろしくねルロウ」
「はい、レグルス王子様」
それを合図にルロウは頷き、二人を花国の城、ランビの元へと瞬間移動させたのだった。
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