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Boy meets Girl
◎覇弥雄×凛

朝は嫌いだ…−。

目を覚ませば理由なく自分の前に現れて、暗闇に白を眩しすぎるほど塗り加えてくる

片手を支えにむくりと持ち上げた力無き体と半端寝ぼけ気味な少年の顔。
長くなった前髪を掻き上げベットから下りるなり、すぐさま着替えを済ませ髪を高めに束ね上げる。
全て無言に終わらせるためか、寝起きはややご機嫌斜めに思われがちである


朝食には昨日の晩に自分で作っておいたカレー(激辛)を冷蔵庫から取り出して食べ、家事から何から自分で終わらせると自分以外に誰も居ない家に鍵をしめてから朝早く外へと出かけた。

「…行ってきます」

いつもの道…
あてもなく歩き続けていると目の前には
いつもの顔が並ぶ

「覇弥雄ーっ、こっちこっち」

大声で自分の名前を呼び、ぴょんぴょん跳ねながら手を振っていた柚希は
陽の光に巻き込まれて消えてしまいそうな金色の髪と水色の瞳をしている

「朝っぱらから声がでけぇよ」

「だってー!」

その目はいつもと違いキラキラと光を帯びていた

「聞いたー!?雑誌モデルの凛ちゃんがここに撮影で来るんだって!ねーねー覇弥雄も見に行こうよーねぇってばー」

柚希はやたらアニメや芸能人に詳しい
が、マニアックすぎる点あってか
俺がその話題についていく、という気はさらさらなかった

「俺はいい…つーかそいつ、誰?」

「モ・デ・ルっ!!拓坊は僕と一緒に来てくれるよねーっ」

「あ、うん。別に問題ないけど…」

拓坊と呼ばれた水色の髪に淡い青色の瞳をした拓也(たくや)は苦笑しながらも掴まれた手をぶんぶんと柚希に振らされていた。
柚希同然に
二人して偉い親を持つ坊ちゃん育ち

そして三人は小さい頃からの仲で何でも話せる親友トリオでもある。

「じゃ吊られて覇弥雄も」

「行かねぇっつーの。興味ねぇ」

「ムキー!僕もう拓坊とラブラブデート堪能しちゃうんだからーっ」

「え!な、何それっ聞いてな」

「…柚希、叩き潰す」

「やー拓坊!覇弥雄が恐いー」

拓也の腕にしがみつき、柚希は女子高生みたくきゃーきゃーと騒ぎ立てていた
脳天に一発喰らわせた事は言うまでもない


結局 二人とはそこで別れ、また一人賑やかな町並みをただひたすらに歩き出す。

……煩い……

発展都市にあるこの国では当たり前の光景、目をつむりたくなる。

「あのー、この辺りに住んでるんですか?」

ふと後ろに振り返り声のするほうへ顔を向ける

「そうだけど…何?」

相手をじっと見つめていると
長い黒髪の彼女は少し下から自分の顔を見つめ返す。

「あ、えとー」


ふにっ


「ちょ…何するんれふか!」
「猫被ってんの、それ」


彼女の頬をつまんだ途端 それまで下げ眉で困り顔だった彼女は、きりっと上げ眉で強そうな彼女へと一変した。
見ただけで顔がほ照っていることがわかる

「別に被ってる訳じゃないけど、ただ君とお友達になりたいなって思っただけ」


…お友達…か…

そこが道中だろうが
お構いなしに 彼女はそっと優しく自分の頬に触れる

寂しそうに
覇弥雄の事を見つめながら

いつも自分を取り囲む女性とはまるで違う…どこか自分を見透かされてるように同情されて

俺が1番苦手で
嫌いなタイプだ。

そんな事もつゆしらず
彼女は変わらず声を投げ掛けてくる

…やっぱり煩い…

「ここじゃなんだし、静かなとこでお話しましょ?赤髪くんっ」

ぱっと明るくなった彼女に抗う事もできず、ただ流されるまま行方も知らず手を引かれていった

…というか怪力ほどではないが、かなりの力で引っ張られていた

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