青春の定義 幼馴染は極道です その日の夜、寝る間際に携帯が鳴った 「んー?誰だろ……って、慶?」 ボタンをおして、もしもしと声をかける 《おそようー!≫ 「……元気だね、慶」 《うんうん、元気元気ー。夜こそ俺の時間だから≫ 「そっか」 《あれ?もしかしなくても眠い?≫ 「おれ、10時には寝るタイプだから」 《小学生かよ……≫ 「悪いかよ」 《別に。優斗、夜に弱いと一生ドーテーだぞ??≫ 「何言ってるの……」 完全の夜のテンションですな…… 《あれ、そういや彼女いたんだっけ?≫ 「ん、まぁ別れちゃったけど」 《そーかー、そうだよなー。それじゃあドーテー卒業済みですか?≫ 「……当時おれ、中学生ですけど」 《あー、ゆう真面目だもんな!大学まで待つつもりだった??≫ 「そりゃ、相手に合わせるでしょう……」 なにを言ってるんだか…… 《つまり、ドウテイでありショジョであると≫ 「……はい?」 ショジョって…… 《うん、処女≫ 「おれそっちの気はないからね!?」 《あははー、ごめんごめんご≫ 「慶、夜のテンションに入ってる?」 《うん、夜のテンション完全に≫ ははは、と携帯越しに笑い声が聞こえてくる 「……で?」 《ん?≫ 「どうしたの、なにかあった?」 《……≫ 図星かな 慶はなにかあると、おれに電話してくる それから、それが嫌なことであればあるほど、明るい声をだす 自分からは決して言わないから、おれが察してやらなきゃ 《……部活帰ったらさ、親父からちょっと小言言われて。落ち込んじゃって≫ 「うん」 《俺さ、家が家だろ?だから、後継問題とか、色々。まだ17にもなってねぇのに、うるさくて≫ 「うん、慶の家、極道だもんね」 《そーなんだよ、ったくよー。もっとフツーの家に生まれたかったぜ≫ 「……でも慶には、お父さんもお母さんもいるよ。普通の家でも、そうじゃなくても、そこは同じことでしょう。愚痴はいいけど、お父さんたちが悲しむことは言っちゃダメだよ」 《……お前に親のこと言われると、俺なんも言えねぇや≫ 「ふふ、すげーだろ?」 《笑うな、調子狂う!……でもま、そうだよなぁ。あんなクソ親父でも、家と俺のこと考えて言ってるのはわかってるんだよ≫ でも、それはそれ、これはこれ!と慶の大きな声が聞こえる 《俺も反発したい時期なの!≫ 「でも慶、昔に比べたらずっとマシになったよ。大人になった」 中学のころなんて、ほんと、手のつけようがなかった時期があったもんなぁ…… 《……マジで?≫ 「うん、大マジ」 《かっこいい?≫ 「うん、かっこいい」 《どれくらい?≫ 「すっっっごく、かっこいいよ。昔から引っ張ってくれてて、かっこよかったけど」 もし共学なら、女の子には困らなかっただろうなぁ。 ノリもいいし、顔だって翔と並んでも引けを取らないほどカッコイイし。 《……俺、明日からまた頑張れるわ≫ 「ははっ、本当に?今ので?」 可愛い女の子に言ってもらったほうがいいだろうに 《俺には俺の動力源があるの!……ってことで、おやすみ!≫ 「え、慶!?」 突然かけてきて、突然切りやがった…… 「ふふ、あの様子じゃ照れてたなぁ」 可愛いとろこもあるんだよね [*前へ][次へ#] |