青春の定義
新しい日々の幕開け
朝7時30分
目覚ましの音と共におれは目を覚ました
「ふあぁぁ」
16歳、春
今年もこの日が来たなぁ……
大きく伸びをして、ベットから起き上がる
寮制かつ金持ち校のこの学校の寮は、一部屋3人兼用ながらにしてミニキッチン、バスルーム、寝室が3部屋あるという設備の良さ
(しかもこの寝室、テレビと机をおいてもあまりあるスペースという……)
正直、もう一人一部屋でいいじゃんって思う
庶民出身のおれからしたら寮の部屋っていえば二段ベットとか、そういうのを予想していたから、去年の今日、その想像を裏切られた
ほとんどアパートみたいなもんだもんなぁ……
なんて考えながら身支度を整えていると、コンコンとノックが聞こえた
「ゆうくん、入るよ?」
ドアの向こうから、去年から同室の一つ上の先輩、金瀬ヒカルさんが、ひょっこり顔をのぞかせた。
「ヒカルさん、おはようございます」
「うん、おはよう」
にっこりと笑って返事をするヒカルさんは、綺麗にカラーリングされた金髪がとてもよく似合う顔立ちの人だ
もともと近所の美容院の息子さんで、近所のお兄さん
だから、今でも先輩と呼ぶのがなんだか変な感じがして、ヒカルさんって呼んでる
昔からよくお世話になってます
「それで、ゆうくん。そろそろ学校の時間じゃない?俺たち3年は自由参加だけど、2年は始業式、出るんでしょう?」
「そうなんですよ……。どうせ最後の片付け要員としての出席なのに」
はぁ、と大げさにため息をつくと、ヒカルさんは、小さく笑った
「俺も去年同じ気持ちだったよ。ほら、行ってらっしゃい」
頭をポンポンと撫でられる
これは昔からの、おれに対するヒカルさんの癖
「いつまでも子供じゃないですよ?」
「……そうかもねぇ」
なんだか少し寂しいような、悲しいような顔をしたように思えたけど、きっと目の錯覚だと思う
だって、次の瞬間にはヒカルさんはいつもの人の良い笑顔を浮かべていたから
「ほら、早く行きなよ」
「はーい、行ってきます!」
おれは寮を飛び出した
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