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青春の定義
呆れるほど愚鈍です 
おれとグレイは屋上をあとにして、教室へと戻ることにした

正直、放課後だし、誰もいないと思うんだけど……

「おれ、高等部上がってからはじめてサボったかも」

一度くらいなら、特待の地位剥奪なんてことはない、よね……?

「……すまない、俺のせいだ」

「へ?いやいや、グレイのせいじゃないよ!」

だから大丈夫、と笑うとグレイはぐっと顔を近づけてきた

「本当か……?」

「う、うん、本当、デス……」

顔近いんですけど!!


なんか、グレイの距離感がおかしいよー!?と一人冷や汗を流しているときだった


「―――ゆ―――」

誰かが何かを叫びながら走ってくる音がした

「―――ゆうに、何してんだ、このセクハラ男!!」

「ぐっ!?」



……なんか、ものっそい勢いで走ってきた翔太がグレイにキックをかまして、グレイがそのまま倒れた


うん、ちょっとよくわからない


「翔!?急にどうしたの!?」

「ゆう!」

「うわっ!?」

がしっ、と力強く翔に肩を掴まれる

「なにがあった。なにされた。」

「ど、どうしたの、翔。顔怖いんですけど……」

「怖くない。だから教えて?」

いやいや、目が笑ってないから!!


誰か助けて!と胸の内で祈ると同時に、翔の後ろからまた誰かがかけてくる


「はい、みんなのヒーロー慶くんです!」

きらっ、とわざわざ言葉にしてキメ顔作ってる場合じゃないからね!?

「慶!翔がぁ」

「ゆう、慶は今はどうでもいいから。それで、グレイに何された」

「告白されたの?」


「へ……?」


あ、ああ、そういうこと……

って、誰から聞いたんだ!?

「えっと、された……?」

「なぜ疑問形なんだ?俺はちゃんと、おまえに告白した」

いつの間にか回復したグレイが、ケロッと言ってのける

ああ、翔の後ろに般若が見える……


「……で」

「ハイ」

「受けたのか?」

「う、受けてません。おれ、まだよくわかんないし……」

それを聞いて安心したのか、翔はふぅと息をはいた

「……そっか」

あ、なんか嬉しそう

「翔、そんなにおれが男に告白されるのが許せない?」

おれに彼女ができたときは喜んでくれてたのに……

やっぱ男同士って、気持ち悪いのかな

「それは「それはそーだろー!!」

慶が首をにゅっと伸ばして翔の顔を隠す

「俺たちにとっても優斗は大好きなヤツなんだ。誰かに独り占めされるとか、許せないだろ?」

なぁ?と慶がグレイに笑いかける

グレイはなんとも言えない表情で、眉毛だけをピクリと動かした

「慶、お前邪魔だ」

「いででっ!ギブギブ、頭掴まないで!!」


まーた始まったよ……、なんて思いながらおれは笑った


「翔たちの大好きとグレイの大好きじゃ、意味が違うのになぁ」

変なの、となんてことなしに呟くと、周りから音が消えた


気づけば三人が三人ともおれをじっと見つめていた

「……?、どうしたの?」



「え、あー……うん。お前も大概鈍感極まりないなぁと」

慶が苦笑しながら、呆れたような口調で言った


もう、わけがわからないっ!!

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