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青春の定義
幼馴染の心境 慶Side
放課後

グレイと優斗が和解して、教室に戻ろうということになったころ

慶はバスケ部の部活練習に行こうかどうか迷っていた


「んー……」

「お?どうしたんだ、豪来院」

「あ、森田。つか、いい加減その呼び方やめろよなー。長いだろ」

「いいじゃねぇか、カッコイイし」

「はぁぁ〜、相変わらずイイ性格ぅ〜」

森田はどーも、と小馬鹿にするように笑った

まったく、わかっててやるからたちが悪いんだよなぁ

「慶、部活行かないのか?」

あ、翔ちゃん

「そういう園田だって、何してんだよ。さっきサッカー部の小林が走ってったぞ?」

「あー、まぁ、今日は練習試合入ってるから」

そういって、翔太は頭をかいた


……なんでこう、お互いわかりやすいんだろうねぇ


「ふぅーん。そんなに速水が心配なワケ?」

「「………。」」

「え、わかりやすっ!!」

ぎゃはははっ、腹抱えて笑いだす森田を、正直殴りたくなったのはここだけの話

「つか、その様子じゃわかってたりすんの?」

なんで速水が仮病使ったか

そう言われて、俺は目をそらした

まぁ、わかるだろ、そりゃ

朝から優斗の様子おかしかったし、グレイも避けてるみたいだし、放課後には二人そろっていないし


「……というか、なんで森田が知ってるんだよ」

翔太が、解せないという顔をして森田を見た

「んー?そりゃ俺が、頼りがいのあるナイスガイだからだろ」

お前らとは立場が違う

「なるほどー」

にっこり笑って、森田の腰を掴む

そしてそのまま思いっきり腰をくすぐってやった

「うっ、あっ、おいバカ!!あっははははっ!!!おれ、こし、弱いんだってっははははは!!!」

「ざまーみろばかやろー!俺たちが知らないで、なんでお前が知ってるんだよ!」

解せぬ。

「はぁーはぁ、はぁ……。いやな、それはお前たちが一番よくわかってるだろ。てか、むしろ俺は以外だったぜ。すぐにでも探しに行くかと思った」

そしたら大人しく教室で待ってるんだもんよ

森田は腰を両腕で守りながら、俺たちを見た

「翔太が出てかないのに、俺が出てくわけないだろ。俺はこいつのストッパーなんだから」

「……それは」

翔太は、少し俯いて、次いでため息をついた

それだけ見て察したのか、森田はふぅーん。と呟いた

「グレイのこと、何らかの理由で認めてあげたとか、借りがあるから今回は黙って見守ってやるとか、そんな感じ?」

「ヒュー」

さっすが森田

親父が高位裁判官、おふくろが敏腕弁護士なだけあって、人への観察力がするどいなぁ

「ま、そんなとこだよ」

翔太は呟いた

先日の一件ではたしかに優斗を助けてくれたし、俺らがあいつのこと大切にしてること知って謝りにまで来てくれたし

筋が通ったいいやつだって、やっと翔太も認めたんだろう

……そんなこと、翔太ならわかってたくせに、認めたくなかったんだから、翔太も相当意固地なんだろうな


「面白いね、お前ら」


森田が突然笑いだした

それはいつもの小馬鹿にした笑い方じゃない

「いやー、青春だなーって感じ?いっそお前らも告白してきたら?」





「「………は??」」




「え、なにその顔。二人して」

え、告白??

「告白、したの?グレイ。優斗に??」

「は?お前らそれ知ってて見守ってたんだろ?」

「え、いや、俺たち、そこまで考えてなかったっていうか……」


あ、あー……。なるほど、だから2人ともあんな挙動不審な……


「お前ら、優斗のこと可愛がりすぎ。俺たち優斗が他の男に告白されるわけない!って思ってたわけ??」

笑っちゃうね、と森田がまた小馬鹿にして笑った

そのとき

「ぐ、ぐ、グレイ・ハルマサなんちゃら、あの野郎!!」

翔太、嫉妬スイッチはいりましたー


ほんと、グレイと優斗のことになると態度が違いすぎる……


「シメル」

「おい、園田、お前部活……」

森田の言葉を聞かずに、翔太は駆け出した

「俺もいってきまーす!!」

「あ、おい!?俺は止めたからな!?」

わかってるわかってるー、と走りながら返事を返した

翔太の姿はすでに米粒のように小さくなってる


「……俺、あいつがいるからこんなに冷静なのかもなー」

おばけ屋敷で言う、自分ビビリだけど、隣のやつがもっとビビリだから、逆に冷静になるってアレ。

マジで今、そんな心境です



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あきゅろす。
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