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青春の定義
告白 グレイSide

遠くからチャイムの音が聞こえる

俺は学校の屋上、その塔屋の上で一人、寝そべっていた。

午後の授業が始まるらしいが、行くつもりは毛頭ない。


「……」

人知れず、静かにため息をつく

今思えば、俺はなんてことをしてしまったんだと、後悔してもしたりない

今のままでいいと、そう思っていたはずなのに


……ユウ、気持ち悪く思わなかっただろうか


男からのキスなんて、普通縁はないだろう

ケイやショウだって、したことはないはずだ


「……チッ」


嫌われたくないと、うじうじしている自分にイライラする

してしまったものはどうしようもない。

しかし、どうしても、ユウのことを真っ直ぐに見れそうにない


…………。


一度、眠よう

そう思ったときだった。




「グレイ!!」

「!?」

突然名前を呼ばれて飛び起きる

けれど、姿は見えない

「あーもう、ここでもなかったら、いったいどこに……」

ユウが、俺を探して屋上にきたらしい

俺は塔屋の上で息を潜めていた

心臓がバクバクとうるさい

こんなにも緊張したのは、初めてだ


……いや、緊張よりもユウが俺を探しに来てくれた嬉しさで鼓動が鳴っているのか


「グレイ、もしいるなら返事してー!」

そういって、大声で叫ぶユウ

……他の教室に聞こえたら、俺もお前もサボりってばれるだろう

特にユウは、特待生だからデメリットが大きい


俺は、やれやれというふうに、口を開いた


「……ここにいる」


「上か!?」

明るい声が、返ってきた


少し待ってろ、という言葉の後に続いて、ユウがはしごを上ってくる音がした

そして、ピョコっとこげ茶の髪が覗いた

「やっと、見つけた!」

「見つかった」

目がパチリと合って、お互い笑いあう


今日初めて、ユウの目をまっすぐ見た


「ひどいじゃん。おれ、お前と話そう話そうって。なのに避けて……」

しゅん、とされて少し焦る

「俺にも、色々……。ユウに会うの、正直気まずく思ってた」

「今も?」

「……、今はもう、今更って感じだな」

そういって苦笑すると、ユウは恥ずかしそうに頬をかいた

「実はおれもさ、色々悩んで……。でもグレイの言葉は曖昧で、どう受け止めていいかわからないから、真っ向から聞いてみようって、決めたんだよ」

ユウが、まっすぐに俺をみる



ああ、あのときと変わらない、綺麗な瞳だ



「改て聞いていいですか?」

緊張でうまく表情が作れないのか、固まっている

俺はそれをみて吹き出した

もう、悩んでいたのが嘘みたいだ

「……ああ」

俺は頷いた

ユウはそれを確認して、口を開く


「それじゃ、昨日の言葉の意味、教えてください」


まっすぐに俺をみるユウ。

俺ももう、覚悟を決めて言った







「ユウ、お前が好きだ。……ずっと、昔から」






初めてあったあの日から、お前をずっと、想ってた。

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あきゅろす。
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