青春の定義
相談 森田Side
「なぁ、森田。お前、相談にのるって言ったよね?」
俺が席から立ち上がって、便所にでも行こうとしたとき、速水が言った
俺はその先をなんとなく察して、ああ、と頷いた。
「言ったけど?」
「ちょっと、話があるんだけど……」
「……わかった、聞いてやるよ」
別にそこまで便所に行きたかったわけじゃねーし
俺はまた席に座って、速水の話に耳を傾けた。
昨日あった出来事を、まぁ、わかりやすく大雑把に
さすが、頭いいやつはまとめるのがウマいわぁ
「……ということ、なんですよ」
速水が大きくため息をついた
「意を決して、確かめようって決めたのに、お前にあんなこと言われたらにぶっちゃってさ……」
俺が悪いのかよ
っつか、ここまで鈍感なこいつに罪があるだろ
「あー、はいはい」
「え?!今の話聞いてそれだけ!?」
「まぁ、なんつーか、ある程度予想はできてたから。さすがに不審者に絡まれて、グレイに助けてもらって〜っていう流れはちょっとどこの少女漫画ですか、って吐き気したけど」
「……お前、その口の悪さなんとかしろよ」
「俺からアイデンティティ奪う気かよ」
って、本題入んないと昼休み終わるな、これ
「んで、話戻すと、俺からしてみたらそれ、本気以外の何ものでもないと思うぜ?」
「……男なのに?」
そう言いながらも、やっぱりそうなんだ、とでも思ってそうな顔をする速水に、少しイライラする
「むしろ、男だから、その非常識さを理解してるから、お前に真っ向から告白できねぇんじゃねぇの」
んで、こんなこともわかんねぇかなぁ
「それでも伝えたくなったんだろ。だから遠まわしに、罪だのなんだの、クサイセリフ言ったんじゃねぇの?そんで、それを後悔してるかなんかして、お前を避けてる」
俺の推測はこう、と伝えると、速水は呆然とした顔で俺を見た
「……そう、なんかな」
「さあな」
俺はケロッとした口調で返す
「知らね。でもま、これでわかったろ。生半可な気持ちで、お前おれのことどう思ってる?なんて聞いてみろ。後悔するのはお前だよ」
速水は俯いていた。
……少し、言いすぎたか?いや、こいつにはこんくらい言わないと、お互い傷つく結果になっちまうだろ
「……た」
「は?」
「わかった!」
バンッ、と机を叩いて速水は立ち上がった
俺は何が何だかわからず、目をパチパチさせた
「っと……、何が?」
「グレイ、探してくる」
「え?!」
こいつ、人の話聞いてたか?!
「ちょっと「おれさ」
速水がまっすぐ、俺をみる
「やっぱ、うじうじ考えるの性に合わないのかもな。なんか、森田の言葉聞けば聞くほど、おれから動かなきゃいけない気がしてきて」
たはは、と苦笑する速水に、俺は、はぁ、とため息をついた
「相談、いらなかったかもな」
「なにいってんだよ、おかげで決心がついた。ありがとう」
…………。
「いでっ!?らりすんらろ!」
思いっきり頬をつねってやった
「なんか、鈍感のくせにときたま、男らしいとこ見せられるとイラっとするなぁ、と」
「りふふぃん!!」
「うっせ、ほら、行ってくれば。チャイムなるけど、きっとグレイのあの様子じゃ午後はサボるだろ。お前は保健室行ったって担任には伝えとく」
あと、あの速水バカ二人をどうにか言いくるめないとな……
保健室行ったって言って、堂々と授業中、見舞いに行く!とか言われたらかなわない
「ありがとう!」
速水はもう一度お礼を言って、教室を後にした
「……うまくやれよ」
少なくとも、俺みたいに何度も後悔して、ようやく答えにたどり着くような無駄だけはすんな。
「せんせー、速水保健室行ったっス」
「ん?……そうか、わかった」
(先日の一件、さすがに教師の耳に入ってるとみた)
「は?優斗保健室?んじゃ、俺見舞いに行ってきまーす!」
「それじゃ、オレも付き添いで」
(マジでいいやがったコイツら……)
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