[携帯モード] [URL送信]

青春の定義
キミを想って ヒカルSide
パタン、と静かにゆうくんの部屋の扉を閉める

そして、自分の寝室に真っ直ぐに戻った。

「……」

うまく笑えていたかな?

それだけが心配だった


彼になにがあったのか、それはわからない。

慶くんも翔くんも、自分たちからは言えないの一点張りだったし

俺からしたら、何があったとしても彼が無事ならそれで十分


でも


「あの顔は、ダメだよね……」


戻ってきた時のゆうくんは、焦っているような、困惑しているような表情で、顔を火照らせていた。

……女の子からの告白なら、きっとあんな、困惑したような顔はしない。



何年、彼を見てきたんだろう

俺が小学校上がる少し前くらいに、俺がゆうくんのご両親の家のそばに引っ越してきてから

ずっと、弟みたいに可愛がってきて……



ふと、分厚いアルバムの本が視界に入る。

俺はそれを手に取ると、適当なページを開いた

「あ……」

そこにあるのは、幼い頃の俺とゆうくんの写真

親が撮ったのだろう

おれが嬉しそうに、ゆうくんに花冠をかけている。


ああ、たしかこれは、何回か遊ぶうちにゆうくんが俺を慕ってくれるようになったころの……




『おれ、大きくなったら、ヒカ兄と結婚するんだ!』

『うーん、あのね、ゆうくん。男同士は結婚できないんだよ?』

『なら、おれのおよめさんになって!』

『ぼくは女の子じゃないから……』

『じゃ、おれがおよめさんになればいいよ』

『あははっ、そしたらぼくはきみをしあわせにしないとね』


そう言って、誓いのキスの代わりに花冠をあげたんだ



「……なつかしいなぁ」

今思えば、キスくらいしておけばよかったかも、なんて


でもまぁ、経緯がどうであれ

「本当の意味でキミを意識したのは、俺のほうなんだよなぁ……」


一度は葛藤したこともあった

俺は結構、常識に縛られるタイプだから、尚更。


あの時は友だちに、相談したり当たったり、迷惑かけたりもしたけど、

今は、このままこの気持ちに蓋をして、いい兄貴分のままでいることに決めたのに



「……また、悩ませることをしてくれたなぁ」


相手はどこの誰なんだか

[*前へ][次へ#]

2/11ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!