青春の定義
苦しい
落ちてしまったフルーツを拾って、おれは寮に戻った
まだ真昼間だというのに、頭はすでに疲れきっていた
「ただいま……」
「あ、優斗先輩!おかえりな……?」
おれの様子が変だということに気づいたのか、雅くんは首をかしげた
「ゆうくん?」
雅くんの後を追ってきたヒカルさんは、少し間を置いて
「部屋に戻りな。ゆっくりしたいでしょ」
そういっておれの背を押した
「あ、はい。すいません……」
「気にしないで。色々あったんだろうから。雅くん、悪いんだけどあったかいお茶と、甘いものを用意してくれる?」
「あ、はい!」
行こうか、とヒカルさんに連れられて寝室に向かう
おれはされるがまま、ベッドに寝かされた
「疲れてるんでしょう?なにがあったのかは知らないけど、今は言わなくてもいいよ。……それにしても、」
どうやら、他にもなにかあったようだね?とヒカルさんに笑われる
「……ヒカルさんは、お見通しですか」
「うん、君の顔をみれば一目瞭然」
それじゃ、俺はもう行くよ、と立ち上がったヒカルさんを、おれは止めた
「あの、ヒカルさん」
「ん?」
「……いえ、なんでもないです」
「……そう?相談なら乗ってあげたいところだけど」
ヒカルさんはそういって苦笑して、
「でもその相談は、今の俺にはムズカシイかな」
「?ヒカルさ「また来るから、ちゃんとおやすみね」
ヒカルさんはおれの部屋を出て行った
おれは自分のことで精一杯で、このときヒカルさんの笑顔が不自然だったことに、気がつかなかった。
『お前を想うことは、罪なんだ』
グレイの言葉が頭の中をグルグルと巡る
「……どういう意味だよ」
バカ野郎
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