青春の定義
誰よりも大事だからこそ 翔Side
「っ、だから!どういうことだって言ってんだよ!!」
俺は今までにないくらい、グレイを責め立てていた。
『……話がある』
そういって、グレイが俺と慶を呼び出したのは、つい数十分前。
いつも口数少ないグレイが、いつにもまして饒舌で、表情が苦しそうなのが印象的だった。
そして、その口から発せられる事実に、オレは目を丸くした。
だって、信じられないだろ
ゆうが、女庇って襲われかけた?
意味がわかんねぇよ
「俺が、一緒に帰っていれば……」
すまない、と小さく呟くグレイに、オレは、そうじゃねぇだろ!と叫んだ
「今更起こったことを後悔しても遅いんだよ!お前は悪くないんだろ?!なら、んな自分が悪かったみたいな顔すんなよ……っ!!」
何も知らず、駆けつけることもできず、事後報告で済まされた、オレのこのやるせなさはどうすりゃいいんだよ……っ!!
「翔太!!」
慶が俺の目の前に出てきて、グレイと俺を引き離した。
「おまえの気持ちもわかる。けど、今は落ち着けよ」
その言葉に、オレはグレイを掴む手を緩めた
ほんと、オレ、見苦しいな……
最近のオレは、らしくない。
「……ごめん」
それだけ、かろうじて呟いた
「翔太も優斗が大事なんだ。……グレイ」
慶がグレイを真っ直ぐにみて話だす。
「優斗に、外傷はないんだな」
「ああ」
「女の子も無事、そうだな?」
「ああ」
「……ありがとう」
オレは反射的に顔を上げた。
そういえば、変に八つ当たりするばかりで、大事なこと伝えてなかったな……
「グレイ、ありがとな。それから、ごめん」
自分が助けられなかった苛立ちを、あてるだけあてて、肝心なこと一つ、伝えてなかった。
「……いや、俺のほうこそ。うまく説明できればよかったな」
そんな風に言ってから、苦笑して
「ユウは今、保険室にいる」
その言葉を聞いた瞬間、慶はひったくるようにグレイの襟を思い切り引っ張った
「なんでそれを最初に言わねぇ!?ほら、行くぞ!!」
「うわっ、慶!?」
オレの腕も引っ張って、走り出す
ああ、そっか。
冷静なフリして、慶も今すぐ会いたいくらい、心配してたんだな。
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