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青春の定義
兄弟
「うー……?」


目が覚めるとそこは、見慣れない天井

ベットから上半身を起こす

ここは保健室、かな……?

なんていうかもう、広すぎて病院って感じだけど


「おれ、どうしたんだっけ?」


たしか、路地裏で女の子たすけて、襲われて、グレイに助けられて……


突然廊下からバタバタッと騒がしい足音が聞こえてきた

バンッと勢いよくドアが開く

「優斗!!大丈夫か?!」

「兄さん!」

そこには必死な形相の、おれの兄がいた

先生のときとは想像もつかないような焦り方だ

「っ、お前は、全く!」

ぎゅうっ、と抱きしめられる

「お前にまで何かあったら、俺はどうすればいい!?本当に、本当に心配したんだぞ!!!」

あ、兄さんの肩、震えてる……

「……ごめん、兄さん」

そっと肩に手を回す

「ごめんね」

兄さんは、もう謝るな、と呟いた

「グレイから話は聞いた。お前のことだ、放っておけなかったんだろ?」

「……うん」

「そうだよなぁ、お前はそういうやつだもんな」

偉い偉い、と頭をぐしゃぐしゃに撫でられる

「本当、お前が無事でよかった。グレイにお礼言わないとな」

「うん」

あとで改めて言いに行こう

「……ああ、でももう、ほんとう……」

兄さんは力が抜けきったとでもいうように、おれ腰に手を回して、布団に突っ伏した。

「もう少しだけ、こうさせてくれ」

いつになく弱り果てた兄の頭を、おれはよしよしと撫でた。

襲われたのは怖かったけれど、こんなに心配かけて、クヨクヨしてられないなぁ


「優斗、もう、無理はするなよ。約束だ」

「うん、約束する」


そうして指切りを交わすと、兄さんは起き上がった。

ごほんっ、と咳払いをする。


「翔太と慶がお前のこと探してたぞ。お前のことも考えて、公にはしないことにしたから、教えるなら自分の口で説明すること!」

いいな?と確認をとるのは、優志先生で

「はい、わかりました!」

おれも生徒として返事をした

「今は学校だから、これくらいしか言いたいこと言えないけどな。夏休み、覚えておけよ?」

そういってニヤリ、と意地悪く笑う兄さん

「ほ、ほどほどにお願いします……」

おれは少しだけ、夏休みが怖くなったのでした

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