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青春の定義
最悪の事態
学校の敷地内

おれの代わり映えしない帰路は、夕日に照らされていた

「今度、雅くんのところにでも行こうかな」

一人で歩いていると、ふとそんな風に思った

帰って課題やらなきゃいけないんだけどさ

「……ん?」

敷地内と外をつなぐ校門

なぜか妙な胸騒ぎをして、おれは門の向こうを覗いた

女の子と、誰か、大柄な男が言い争いをしているように見える

カップルとは、ほど遠い不穏な雰囲気

女の子は男に腕を掴まれ、必死に抵抗している

そして、路地裏に引き込まれた

突如として思い出すのは、今朝の会話


---近頃、女の子が襲われている


「……っ!!」

校則なんてしるもんか!!


おれは急いで門の隙間からすり抜けた

門番がいなかったのと、小柄だったのが救いだ

中等部の途中まで、野球で鍛えた足を、フルに動かす

走りながら考えた

おれに、なにが出来る?

小柄で、足には少し自身はあるけど、あれほど大柄な男をどうにかできるとは思えない

咄嗟に走りだしてしまったけど、ただのカップルのケンカだったら?

考えだしてもキリがない

おれは走れるだけ走り、裏路地に駆け込んだ




「っ、や、やめてくださいっ!!」

「うるせぇ女だな!黙んねぇと……っ」

ナイフをチラつかせる男

「ひぃっ……?!」

女の子は恐怖で顔がひきつっていた

おれはそれを見るなり男の股間を後ろから蹴りあげる

「っっ、なんだぁっ!?」

男がうめき声をあげ、隙ができた瞬間におれは女の子の腕をひいた

「こっちだ!早く逃げて!」

「う、うん……っ」

走り出そうとした、そのときだった

「待て、クソガキ!!」

足を、掴まれた

「っ、走って!!!」

おれはとっさに女の子の背中を押した

「でも……っ」

「いいから!!」

女の子は意を決したように走りだす

おれは男に掴み上げられた

「ッチ、せっかく上玉が手に入ったと思ったのによぉ」

マジマジと顔を、それから体を見られる

気持ち悪ぃ……っ!

「男の趣味はねぇが、お前みてぇなやつならいけっかな」

気色の悪い笑みを浮かべて、男はおれの制服をナイフで引きちぎった

「っ……!!?」

おれは言葉もでなかった


もうダメか……

おれ、これから何されんだろ……


ああ、でも、あの女の子が無事なら……

おれはぎゅっと目を閉じた

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あきゅろす。
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