青春の定義
名前
帰路につき、おれは話を絶やさないように世間話を始めた
それから、少しして会話が途切れると、おれは大事なことに気がついた
「そういえばおれ、まだ名乗ってなかったよな!?」
「……?そうだけど、別に、知ってる」
そうだ、グレイは初めからおれの名前を呼んでいたんだ
ユウって
だから、名乗ったものだとばかり思ってたけど
「改めまして、おれの名前は速水 優斗。……って、なんで知ってるんだっけ?」
あれ、なんか頭ごちゃごちゃしてきた
どうして知ってたんだろう
おれ、名乗ってないよな?
「初めから、知っていたから。ただ、それだけ」
「???」
ますます意味がわからなくて、おれはそうか?と曖昧な言葉を返した
きっと聞いても、答えてくれなそうだし
「グレイ、なにか部活とか入る予定あるの?」
「……特に」
「んじゃ、おれと一緒だな。おれは今年からなにか入ろうかなって考えてるんだけど、目星いものなくて」
それからいつものような雑談を交わした
グレイは黙って聞いているけど、きちんと相槌を打ってくれるから話しやすい
なんだか、こいつの隣は懐かしい気さえしてきた
「それじゃ、おれの寮ここだから。またな、グレイ」
「……また明日」
おれは軽く手を振って、寮の扉に手をかけた
「やっぱり、覚えていないのか……」
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!