[携帯モード] [URL送信]

青春の定義
グレイ
放課後

翔と慶は部活に行ってしまった

おれはすることもないし、寮に戻って予習でもしようかなー

カバンに荷物を詰めながら、窓の外に目を向けた

今の時間の教室には誰もいない

「あ、翔だ」

サッカー部の練習かな……?

思えばおれはもう、長い間体育の授業以外でスポーツとかしてないかも

「……帰ろ」

なんとなく、少しだけ寂しい気持ちになって、おれは窓の外から視線を外して振り返ったときだった

「……あ」

そこには例の転校生くんの姿

もう誰も残ってないと思ってた……

「……」

き、気まずい

「あ、のさ。えーっと、今朝は翔がごめんね。その、少し動揺してただけだと思うから……」

「何に?」

「え……?」

何に?

そういえば、翔は何であんなに動揺してたんだろ……?

おれが、抱きしめられたから?

「……ごめん、悩ませようとしたわけじゃない」

あ、申し訳なさそうな顔してる……

「いや、気にしないで!えっと、グレイくん?」

「……。グレイで、いい」

そういって彼は視線を少し下に向けた

なんで、悲しそうな顔してるんだろう

おれか?おれが悪いのか!?

でも、おれはこの人とは初対面だし……

悲しませる理由もない、ハズ

「じゃあさ、グレイは--」

どうしよう、なにを話せばいい?

「……ユウ」

「は、はぃ!?」

「そんなに、緊張するな」

優しく微笑まれて、胸がドキドキと音を立てる

うわぁ、やっぱり、綺麗だなぁ……

「ごめんね、あんまりにも美人さんだから」

あはは、と苦笑すると、グレイは首を横にふった

「俺は、お前の方が綺麗だと思う」

そういって、一瞬腕が伸びてきて、おれの頬に触れるかと思うと、すぐに引っ込めた

「……?」

触れられるかと思った……

「……、帰る」

「あ、ま、待って!」

おれは咄嗟に呼び止めてしまった

「よかったら、一緒に帰ろう?まだ部活に入ってないんだよね?」

「……いいのか?」

「もちろん。おれも一人より二人のほうがいいし」

な?と笑いかけると、グレイは小さく頷いてくれた

「……ありがとう」

[*前へ][次へ#]

4/28ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!