短篇集
01
「あ……もうこんな時間か…行かなきゃな」
現在夕方の5時。
あのはた迷惑なSOS団団長涼宮ハルヒから携帯で連絡が入ったのは8時間前くらいか。
朝っぱらから随分元気なことだ…。
しかし、せっかくの夏休み。寝かせてくれてもいいだろうに。
ハルヒからの連絡はこうだった……
××××××
「…はい。もしもし……」
『あ、キョン?今日は夏祭りに行くわよ!!』
「は?朝から何言ってるんだ」
『だ・か・ら、SOS団全員で夏祭りに行くわよ!反対は許さないから、キョンは雪里を連れて来なさいね』
と一方通行でハルヒは場所やら時間を話し…
『キョン、雪里をちゃーーんと連れて来るのよ。はぐれないよう、きっちり守りなさい。そこら辺の男達が放っておかないでしょうから…』
「分かってるって」
『雪里と今日こそくっつけるよう、せいぜい頑張りなさい!』
「はぁ!?余計なお世話だ!!」
『可愛いわね〜、二人とも。ちゃんと来るのよ?じゃあね〜』
と電話を切りやがった。
その電話の後、出掛ける準備をしてゴロゴロしていたら出掛ける時間になっていた。
そして最初に戻る。
雪里は俺の幼なじみである同級生でSOS団に所属している。
最初はもしや幼なじみまでもが超能力者や未来人とかいうフツーの人間じゃないのか!?と焦ったが、長門によるとアイツは俺と同じ、フツーの人間らしい。本当に良かった。
なんでも、ハルヒが言うには、
『この子がキョンの幼なじみ?キョンにはもったいないぐらい可愛いわ!よし、SOS団にも新しい萌え属性が必要ね!入りなさい!!』
だそうだ。もったいないなんて失礼だな、アイツ。
それからというもの、雪里が萌え、かつ古泉のようなイエスマンだからか知らないが雪里をめちゃくちゃ可愛いがり始めた。そして物凄く過保護になった。
“雪里に近付こうとしてくる男は抹殺”
これがハルヒの信条らしい。これに関しては俺にとって嬉しい事だった。
俺の知らないうちにハルヒが壁になってくれるんだからな。
ハルヒが電話で言った通り、俺は雪里に好意を寄せている。もう十何年ごしの想いだ。自信が無くて言えてないが……
ある日、「何でお前は俺と雪里をくっつけようとするんだ」と聞いた事がある。散々近付く男を蹴散らしているのに、と。
対する団長様の答えは、
『あんたになら雪里を渡しても雪里が幸せになれんのよ。随分鈍感ね!!』
って、意味分からん。
とりあえず、ハルヒの好意を受けとって雪里との夏祭りを楽しまなきゃな〜。なんて思いながら俺は仕度を済ませ、隣の隣の家で待っているであろう雪里を迎えに行くことにした。
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