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短篇集
01


私が受け持つこのクラスには、個性的な性格をしている生徒達が沢山在席しているのはご存知でしょう。
ポジティブ少女、粘着質少女、ストーカー少女、引きこもり少女など…
生徒の大半が手の掛かる人達なのですが…


しかし、

そんな数多くの問題児を抱えている私でも、一番厄介だと思っている生徒はこの子です!!


通称『幸運少女』

その名も霜月雪里!

私に対しあからさまな近寄るなオーラを発し、私の前だと必要以上に話しません。
そのくせクラスメートの前では饒舌どころか綺麗に笑います。
この前見たんですから、私の前では無表情なのに、久藤君の前では彼にニッコリ笑いかけたとこ!!
彼、狡いと思いませんか?

えぇ、始めは機嫌でも悪いのかと思って私も気にしないようにしましたよ。
でも見ていたら気付いたんです!
……私だけに冷たいんだなって。


雪里さん……

そんなに私が嫌いなんですかね?



いえ、そんなはずはないと思います。
昔はこんな私にも優しく接してくれましたし、笑顔だって向けてくれてました。


それなのに冷たいのは何故?


私が死にたがりだと分かったからですか?!
あんまり私が

『絶望した!!!』

と、ばかり言っているから?

あぁ、"幸運少女"ですもんね。
『絶望』を理解出来ませんか……



――ならば理解させてあげましょう!
いかに私が恵まれていないのか!!!


理解できたら雪里さんも私と仲良くしてくれるでしょうか、以前のように…


とにかく、
明日にでも彼女と会って話します!!
明日が楽しみですね。
私、頑張りますから。
きっと昔の彼女を呼び起こしてみせます!



「え?…あ、あの糸色先生!?」

「じゃあ失礼しました。智恵先生」

勝手に喋り出し、彼いわく悩み事を自己完結で終わらせた望はカウンセリング室を飛び出して行った。
カウンセリング室には望の相談に嫌々乗っていた智恵ただ一人が残される。


「…あの人、結局何しに来たの?」

彼の話は結局……
――気になる女子生徒と明日デート?

(………なんだ、惚気か……)

智恵は気を取り直し、今日中〆切りの書類作成を再開させた。

(次回はむやみに糸色先生の相談に乗らないようにしよう)

そう心に固く誓って。





――明日は休日なのに……
糸色先生はその子に随分ご執心なのね

本人がそれに気付いているかどうか…


望が週明けにでも、また相談しに来るような気がした。



   


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あきゅろす。
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