星屑の在り方
(銀魂/銀時)正義は我が掌中にこそ
「────お、リンドウが咲いてる」
「? どーしたザビ子、急にしゃがみ込んで」
「ん、ほら銀さん。リンドウが咲いてるんだ」
「おお、これまた大量に咲きやがって……壮観だなオイ」
「青の斜面が部分的に青紫だから少し目に悪い感じがするけどなぁ」
「まあ確かに。けどやっぱこうして見るとキレーだよな〜?」
「まぁな。綺麗だな、うん……。
────なあ銀さん、この花の花言葉って知ってるか?」
「ああ? ンだよ急に。男の俺が花なんかに詳しい訳ねぇだろ?
知ってたら逆に気持ち悪ィだろォが」
「一理あるな、それ」
「否定しろよ。ちょっと待て、どこに一理あった? ん? まさか最後の所か?」
「このリンドウは『竜胆』だな、多分」
「話反らすなよ。なぁおい目ぇ反らすなよ、なんだよ後者か、後者なのか?」
「……この花の花言葉って銀さんにぴったりだな。これで花冠作れないかな?」
「オイィィイイ!! 否定してぇぇぇ!? ねぇお願いだから否定してよザビ子ちゃん!? 銀さん泣いちゃいそうだから、銀さん良い歳こいて泣いちゃいそうだから!!」
「……………………………………」
「無視もヤめてぇぇええ!? なにこれ、なにプレイっ!? お願いだから銀さんに少し関心を向けて!? 一心不乱に花冠を作るのは良いけどその関心を少しは銀さんにも向けて欲しいな!?」
「あー、出来ないや。そもそも私こういう女々しい作業って苦手なんだよな、今思い出した」
「そんな大事な事を綺麗すっぱり忘れ去られるお前はある意味凄いわ。それにお前女だろ、女々しいって表現は当てはまらないぞ」
「人間その気になれば出来ない事なんて無いんだよ銀さん」
「格好いい、格好いいけどやってる事は凄く可愛らしい!! 花冠もって笑ってりゃアレだな、普通にしてりゃ女らしいのに勿体ねぇな、ホント。
つか、リンドウの花言葉ってなによ、先刻俺にぴったりって言ってたしよ」
「あン、聞こえてたのか。案外耳いいな銀さん。
んむー。一言にリンドウって言ってもこれって結構種類があるから一概に決めつけられないンだけど、これは多分野草だから────」
「だから?」
「────“正義”……」
「ハァ?」
「だから、それ、リンドウの花言葉。“正義”がリンドウの花言葉なんだよ」
「ふぅん、セーギ、ねぇ……?
そんな大層な言葉は俺には当て嵌んないと思いマース」
「いや、これは貴方に相応しい……銀さん。うん、このリンドウはな」
「?」
「……むふふ、理由は分からんくても良いよ。花言葉も調べないでくれ。
これは、私の懐古譚なんだから、さ」
悲しみに眩れるあなた。(あなたの悲しみに寄り添う)
竜胆の花言葉、私と貴方には相応しいと思うのだ。
『悲しみにくれる』私と、私の『悲しみに寄り添って』くれる銀さんに────────。
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