星屑の在り方
(無双/三成)運命別つ無情の選択
「俺はどうあっても徳川の狸の勝手を許す訳にはいかん」
「私だってそうだ三成、あの古狸を野放しになんぞ出来ぬ」
「故に、あの狸には然るべき誅を下さねばならん」
「ああ、狸自身の哀れな骸を晒してな」
「然し、あれを撃ち破るには志を共にする者が必要となる。
時にザビ子、貴様は西方と東方、どちらへ就くのだ」
「ッハ、愚問だ三成、私は貴方と命運を共にするとこの剣に誓った。
今更、分かりきった事を問うとは……焦っているのか、石田三成?」
「……そうか。貴様がこちらへ就くというのなら頼もしい事だ。
然し、貴様の戦い方は危うい所も多々ある、背を取られぬよう用心するんだな」
「……ほう、三成の口から私を心配する言葉が聞けようとは努思わなんだ。
ふぅむ……それは、偏に彼らのお陰と言っても過言ではなかろう?」
「貴様は一言が余計だな、その余裕が戦場では命取りなる」
「御忠告痛み入る、精々気を付けるとするさ」
「その不遜な態度、それでこそザビ子だな」
「それは貴方にも言えよう三成。これから天下分け目の大戦だというに、その余裕振りはそうそう真似出来るものじゃァない」
「それは誉め言葉として受け取っておく。生憎だが俺のソレは性分でな、易々と変われるものじゃない」
「だろうよ。然し、それでこそ石田三成だ」
「…………今日はやけに饒舌だな、ザビ子?」
「ふん……そう見えたか。いやなに、私も少し昂ぶっているみたいだな、先程から震えが止まらぬ」
「ほう? 百戦錬磨と噂高い貴様でも戦前に震える事もあるのだな」
「私は何時だって慢心せずに戦う、故の武勲だ、戦の前は震えも止まらぬ」
「それは貴重な事を知った。貴様の弱点を看破出来るとはな」
「はははっ、生憎だが私のこれは弱点に含まれぬよ、これは気構えの問題だからな。
慢心は身を滅ぼすと父が仰っていた、それは父は身を以って教えてくれた故、私は一戦一戦を死ぬ覚悟で臨んでいる」
「────そうか、貴様の父は戦場にて果てたのだったな。
あれも……酷い戦いだった。然し、貴様の父の武働きにより我が軍は勝利出来たのだ」
「戦に酷くないものなど無いぞ、三成。戦というのは全てが酷く惨く理不尽なものだ」
「……ふん、確かにそうであったな。
────────そろそろ、他の奴らへ顔を出しに行くか」
「ああ、しっかりと味方陣営の士気を昂めてこい」
天下分け目の合戦
三成、貴方の間違いは小早川を仲間へ率いれた事だ。
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