星屑の在り方
(Fate/士郎)溢れだすこの気持ちを
伝えきれない気持ちを・続
「へ〜〜〜〜え────────それで?
ザビ子の誕生日なのに、愛の告白という名の花束を誕生日の主役張本人に貰った衛宮くんの心情は?」
「むぐう……誠に遺憾、です」
「でしょうねー。士郎にもちっさいなりに男のプライドってのがあるものね〜?」
「ちっさいは余計だ、まがりなりにも持ち合わせてるぞ。
遠坂、お前また例にもよって例の如く楽しんでるだろ」
「べ〜っつにィ? それより士郎。貰いっぱなしってのも良く無いわよ男として。
ここいらでなにかガツーンとお返しをしないとっ」
「むむむ……。と、言われましても」
「あの子の誕生日プレゼントも兼ねて告白の返事をしなさいって言ってんのよ、ばかちん」
「ば、ばかちんは余計だろ、ばかちんは!
……だけど考えてみればザビ子に誕生日プレゼント渡してないな、俺」
「でしょ? 相手の方が一枚上手だったって事よね。ザビ子もやるわぁ、ホント。
抜けてる様に見えて、その実ちゃっかりしてるというか、なーんと言うか?」
「誕生日プレゼントかぁ……何を渡せば良いんだろ。
遠坂、参考までに訊くが、お前今欲しいもんあるか?」
「ちょっ、なんで私に訊くのよ!? そんなの直接本人に訊きなさいよ!!」
「いや、本人に訊いたら駄目だろこういうのは。こう、驚きが半分になっちまう」
「なるほどね、びっくりサプライズを所望してる訳?
……うーん、ここは正攻法で行っても駄目っぽいしなァ。ザビ子って策士だけど案外抜けてるし。
────はっ! そうだわ、こっちも花束をあげれば良いのよ!」
「は、花束ですか」
「そう、花束! なにせ相手は花束を贈って告ったのよ!?
だったらこっちも花束で告り返さなきゃって話よ!!」
「ぇ、ええ────?」
「えーと、確かザビ子が贈ってきたのはヒメキンギョソウよねぇ……“私の恋を知ってください”か」
「花は専門外です。もう遠坂に任す」
「そんなの分かり切ってるわよ!! だから今良い花言葉を持った花を探してるから黙ってなさい!!」
「はい、誠に申し訳ないです……」
「んー、花はぶっちゃけ私も専門外なのよねぇ。魔術とあんまり関係ないし……そもそも私、花自体あんま好かないのよね。
この分厚い花辞典も宝の持ち腐れになりつつあるわ………………っ!! これよ、これっきゃないわ!!」
「? なにか思い付いたのか!」
「ええ、見つけたわよ、とっておきのヤツをね!
今の時期的に花は咲いてるし、たしかこの衛宮邸の庭にも生えていた筈」
「……さっぱり分からないのだが。おい遠坂、俺にも説明してくれよ」
「分かってるわよ。渡すのはアンタなんだからね。
よし、庭に行くわよ士郎! ちょっと乱暴だけど枝をへし折るからノコギリとかあれば持って来なさい!」
「ちょ、なにをする気なんですか遠坂さんんんん!?」
ハナミズキと共に届けます。
「……え、なにこれ。どしたの、士郎?」
「お前、今日誕生日だろ、だからプレゼント。誕生日おめでとうザビ子……。
────生まれてきてくれて、ありがとう……」
ハナミズキの花言葉をアナタは知っているだろうか──?
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