星屑の在り方
(復活/雲雀)歌にのせる衝動
「ほぉーたーるのォーひーかぁり〜っ、まーどぉべの夕〜日ぃー!」
「…………ねえ君、煩いんだけど」
「おやおや、これは失敬仕った。まだ生徒が残って居るとは努思わなんだ」
「なんで時代劇口調なの」
「いやね。年末ってさ良く分からない時代劇を放送するじゃないですか委員長?
だから自然と時代劇調な口調になる訳さ〜、許してつかぁさい」
「そういうもの?」
「そんなもんです! で、貴方様は如何なさったんですか、委員長?」
「僕? 僕は応接室で書類を片付けてたら屋上からなにやら不快な歌声……と称するのも烏滸がましい音が聞こえたから、音の発信源を見付け次第、制裁を下してやろうかと思ってね」
「うわァ。なんですか、まるで私が音痴の様に言っちゃって!
失礼かつ本当の事だから反論出来ないじゃないですかー委員長っ!」
「失礼所か真実だし。他の委員からも苦情が来ててね。ついでだし潰しておこうかなと」
「なにさらっと恐ろしい事言ってんですかあなた。
良かった、今までで一番今ある生を感謝する私」
「その拾った生を無駄にしない事だねザビ子。
さて、忠告も済んだし僕は応接室に帰るよ。君も最終下校時刻までには帰りなよ」
「あ、待って下さい。私も手伝いしますよ」
「……誰が」
「私が」
「……誰の」
「委員長の」
「……何を」
「お仕事を」
「……ソレ、本気で言ってんの?」
「勿論ですよ。私はいつでも本気で生きてるのだよ委員長」
「どうでも良いけどさ……君、先刻から口調が定まんないね」
「あ、気付かれましたな委員長。何故かというとですね、実はですね、これには理由がありまして。
私と委員長は同級生じゃないですか、でも委員長は彼の並盛中風紀委員の頂点に君臨する風紀委員長雲雀恭弥様な訳じゃないですか。
敬語を使えばよいのか、タメ語でよいのか、迷っている所存に御座います」
「無駄に長い上に殊更どうでも良い理由だった」
「酷い。あ、委員長的にはどちらが好ましいですか?
タメ語ですか? 敬語ですか? それとも敢えての時代劇調にしますか?」
「……ザビ子が楽なやつで、良いよ」
「オーライ、じゃあ敬語時たまタメ語を使わせて頂きます」
「君の場合、敬語ってより謙譲語じゃない?」
「え〜、そっかなぁ、別にへりくだってないよ、私ぃ?」
「────────」
「? 委員長、いかがなさいました?」
「“雲雀”」
「は?」
「もしくは“恭弥”」
「え、な、なにが?」
「君、先刻から僕の事“委員長”って呼ぶでしょう。なんで風紀委員でもない君が僕の事を委員長って呼ぶの?」
「あ、そういえばそうですね」
「だから。僕の事名前で呼んでよ」
「……え〜」
「なに? 何か不満でもあるの?」
「無いです無いです無いです。すみませんトンファー仕舞って下さい委員────……」
「────────」
「っ…………ひ、ばり、さん……?」
「……まあ良いか。今回はそれで許してあげよう」
「はぁ…………一体なにを許されたんだろうか……」
僕を呼ぶ聲。その綺麗な声は決して僕の事を呼ばない。
「委員ちょ……ヒバ、リさん、この書類は?」
「それはシュレッダーに掛けて良いよ」
「えっ!? いやこれ結構重要っぽいンだけど!?」
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