星屑の煌めき
(ラブライブ!/三年生)想い出の中で煌き続ける
「うう、さっむゥ!! まさしく冬到来、びっくりユートピアな寒さ寒波……!!」
「その言葉は良く分からないけれど、寒いのは確かね。昼間は比較的に暖かくて練習しやすいけれど、陽が落ちるのが早いわ」
「その上生徒会のお仕事やってるとあっちゅう間に日暮れやで。なんやったけな、秋の日はつるべ落としが如くって諺あったような……?」
「光陰矢の如し、はまた違うか。兎にも角にも寒ーい!! どしたの生徒会室の暖房は?!」
「ストーブなら壊れてるわよザビ子、先日ストーブの上にお芋を置いたのは誰かしらね、ザビ子?」
「え、ザビ子ちゃんもそんな事やったん? うわー、ウチもお芋を焼けば良かった〜、せいぜいおミカンさんや〜」
「希。今年の初めに扇風機で干し柿作ったのは誰だったかしらね?」
「絵里ち顔めっちゃ怖いやん」
「絵里顔笑ってるのにはちゃめちゃに怖い」
「……こほん。そんな事より、副会長と書紀がぼんやりしていると、引き継ぎ作業が終わらないわよ?」
「ありゃりゃ、せやったな。あんまりにも現実逃避したくなったから目ぇ背けてたわぁ」
「ごめんて絵里。寒くて手がかじかんで書類整理もままならないの、許して」
「……はぁ。もう、仕方ないわね。今ココアを淹れてくるわ、それで一回休憩挟んでまた再開させましょう」
◇ ◇ ◇
「うわーい、絵里、ココアありがと〜」
「ふわ〜。めっちゃあったかいわ〜、絵里ちありがと〜」
「────どういたしまして。まったく、それを飲んで十分休憩したらすぐに書類整理再開させるわよ……?」
「了解やで〜、絵里ちもココア飲んで休憩やんな〜」
「おお、ザビ子ちゃん書紀としてあるまじきだけど字がガッタガタだわー、やっべっぞ。
いやー、絵里の淹れてくれたココアのお陰でやる気元気歯茎って感じ〜」
「微妙に何言ってるか分からないのだけど、ザビ子、眠いのかしら?」
「んふー、ちょっと眠いかもしんない〜」
「ほんまザビ子ちゃんは眠くなると訳分からん事言い出すやん、不思議やで」
「にゃにおう、希だって寝起きボケッとしてるくせにぃ〜、その点絵里は特にないから凄いなぁ」
「私? 私も結構寝起きは呆っとしてるわよ? 皆そういうものでしょう、ザビ子が特別なだけで」
「せやなぁ、ザビ子ちゃんは寝起きも寝る前も不思議な事言うてるからなぁ、ザビ子ちゃんぐらいなもんや、寝ても醒めても面白い事やるん」
「え、ちょ、味方がいないうえに袋叩きだ!?」
「ふふふ、ザビ子がそう思っているだけよ。
希、ザビ子、もう休憩は終わりにしても良いかしら? そろそろ再開させないと今後に響くわよ」
「えー、もちょっと休憩しよーよ〜絵里〜、私まだココア飲みきってないしぃ」
「飲みながらでもいいから書類作成と整理して、あなたなら出来るでしょ」
「うっ、その全幅の信頼と評価はとても嬉しいけど、私わりと普通にポンコツだかんねぇ!?」
「あら、ザビ子は自分のことを過小評価し過ぎよ」
「絵里が私を過大評価し過ぎなのよー!! 希もなんか言ってやってよー!!」
「え、ウチ? ウチからはなんとも……まあ、ザビ子ちゃんは器用貧乏かなぁって思うかなぁ?」
「それ褒められてないよね?!」
「褒めてる褒めてる〜、ザビ子ちゃんはご飯食べながらでも寝られる子やからねぇ」
「あれ、私って赤子かな?」
「ハイハイ、お喋りはそこまで。さっさと仕事して終わらせましょう」
「……絵里、あのさ、その、一つ馬鹿な事聞いていい?」
「なにかしら? 質問の内容によっては怒るわよ?」
「絵里はさ、生徒会の仕事、楽しかった?」
「? ええ、勿論よ。楽しくなければ生徒会長なんて続けられなかったわ」
「……その、さ。私達3年生って、引き継ぎ作業が終わったら、もう、学校に来てやる事ってないじゃん。
このまま、コレを終わらせたら────私達、本当に全部終わっちゃうんだよね……?」
「────……」
「ザビ子ちゃん……」
「……コレが終わったら、生徒会も、穂乃果達に任せる。そうするとさ、私達、もうなんにもする事、なくなっちゃう。
当たり前だけど、3年生だし、卒業する訳だし、当たり前だけどさ、全部片付いたら、私達がこうして集まる事もなくなるのかな」
「────ザビ子ちゃん、」
「ザビ子。それは間違いよ」
「……絵里ち」
「私達の仕事はまだたくさん山積みよ、引き継ぎ作業に引き継ぎ指導、卒業式へ向けての段取り、このあと生徒会に残る穂乃果や海未とことり、その後また引き継いでいく後輩達。
私達は後輩達にまだまだ伝え残して行くことがあるの、このまま終わるわけないじゃない」
「絵里ちの言う通りや、ザビ子ちゃん。まだまだウチらはやる事いーっぱいあるやん!」
「…………絵里、希……」
「後世に続く、なんて大仰過ぎるかしら……、まあそれでも後輩達に受け継がせたいモノはたくさんあるし、私達のやる事はまだ沢山あるの。
だから、今日のこの仕事で私達は解散、て訳にはいかないわ。
ザビ子、安心していいのよ、私達は確かに卒業に向けて仕事を片付けていくわ。
けれどそれで終わりじゃないのよ、私達がやって来て大変だった事たのしかった事苦しかった事をひとつひとつ丁寧に穂乃果達に教えなきゃ終われないわ。
だから、ザビ子。そんな悲しくて後ろめたい考えは捨てなさい」
「っ……絵里はかっこいいね、そういう事、サラッと言えちゃうんだもん……、スタイル良くておっぱいおっきくて顔面可愛くて性格も良いとか絵里すげぇわ」
「ザビ子ちゃんもある意味かっこいいやん、その前半と後半で上げて下げる感じすっごいと思うでウチ。シリアスシーンもなんのそのやね!!」
「ええ、でもまあ、そういう空気が苦手でわざと壊して茶化して誤魔化そうっていうザビ子のいじらしさ、私は好きよ?」
「うご、絵里ったら私の性格を見抜いた上でそういう事するし、ホント無理好き!」
「ありゃりゃ、さっきまでのしんみりした空気はどうしたんやろか。絵里ちの言う通りザビ子ちゃんがごまかした結果やし、こうなる事が見えてたんやろな」
「さて。話は終わったでしょう。引き継ぎ作業に取り掛かって穂乃果達にプレッシャーを掛けてあげましょう?」
「そやなぁ、ウチらの完璧超人な引き継ぎ作業に海未ちゃんとことりちゃんが舌巻く事請け合いな仕事をしておこうや、ねえザビ子ちゃんっ?」
「………っ。うん、そだね。あとに残る後輩達に私達の偉業を魅せてあげようか!」
「それとな、コレ早く片さんとにこっちが激おこやねん、焼き肉キ○グに先行かせとるんや、はよ終わらせて帰らなあかんねん」
「そういう事早くゆって希ぃーーーー!!!!」
早く帰りたい、ずっとここに居たい
大好きだから終わってほしくない。
けれど、大好きだからこそ進まなきゃ。
「おっっっっそい!!!! ぬわぁにやってたのよアンタ達!!!!」
「ごめんてにこ、遅れてごめん、ここはわたくしが奢りますのでお許しくだしあ!!」
「ザビ子がゴネて遅れたの、ごめんなさいねにこ、おまたせ」
「ザビ子ちゃんが駄々っ子やってん、ごめんなぁにこっちぃ」
「あっるぇ?! 拙僧一人が悪者ナリかぁ!?!?」
「良いからさっさと座って肉頼んで焼くわよ!!!! 時間がないんだから早くしなさいアンタ達!!!!」
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