星屑の煌めき




(Fate/士郎)砕け散る灯りの判決





「────何日連続なの、この雨」

「……まあ、台風来てるし秋雨前線の影響もあるし、仕方ないだろ」

「もうそういう事を言ってるんじゃないの!! 雨だよ、雨!! もう軽く二週間いってるんじゃない?!」

「────っ、ザビ子どうした、そんなイライラして。カルシウム不足なのか?」

「衛宮くんのそういう態度に更にムカつき拍車掛かるって言いたいけど、へっぽこ衛宮くんに何を言っても無駄だって分かってる。
はぁーーーー、もう心にカビが生えそうだよ〜……」

「へっぽこってお前、良心がある人間なら普通言わない事を面と向かって言いやがったな……!!??」

「事実でしょ、へっぽこ」

「ぐぬっ……お前だんだん遠坂に影響されてないか?」

「凛に? まあ、凛とは五百年前から因縁あるっぽいし、今となっては凛とは親友だし、影響ないでもないよね。
まあたかが五百年の話だし、ウチは一千年の歴史がある家だから別にどうって事はないけどさ」

「今猛烈にお前んちと遠坂んちの歴史の一端に触れて絶望したんだが」

「まあこんなの衛宮くんが気にする事でもないでしょ。うちはそもそも陰陽道だった家なんだから魔術一族の歴史でいったら多分ひよっこなもんよ。
そんな事より、雨続きでもうわたし限界点迎えそうなんだけど……!!」

「もう歴史の重さがおかしくなってきた……」

「衛宮くん、大丈夫? そんなに頭抱えて、頭痛?」

「────────。まあ確かに雨が続いてるから洗濯物も溜まっちまったしな」

「本当ね。ねえ衛宮くん、そろそろ衛宮邸にも乾燥機迎え入れない?」

「電気代が恐ろしくなるので却下です」

「まあ現実的なモノじゃないよね、別個で買うより乾燥機付き洗濯機買った方が後々も安く上がるって言ってたけど、恐ろしいかもね。
そもそも電気屋さんの店員さんはデメリット言わないから困るし、ちょっと分からないからわたしだけで行った時は困った」

「そういえば、なんでお前一人で電気屋さんに行ったんだ? 遠坂よりはマシとはいえ、電化製品苦手だろ、ザビ子?」

「うーん、ドライヤーが壊れちゃったから新しいの買いに行ったんだよ……あれはもう怖かった、『ドライヤーないですか?』って一つ聞いたら百の言葉にして返ってきたから怖い、もう二度と一人で行かない。
なんだろ、もう携帯ショップにも行けなくなりそう────怖い」

「……トラウマを植え付けられてる。
しかしまあ、乾燥機付き洗濯機はちょっと良いなぁって思うけどな、俺も」

「梅雨の時期とかさ、こうして雨続きの日には欲しくなるよね。
藤村先生の所はどうしてるんだろ、ここより大所帯でしょ?」

「藤ねぇの所は普通に乾燥機付き洗濯機が二、三個あってそれをフル活動させてるぞ。うちもたまーにお世話になってるしな。
その度に決心が揺らぎそうになる……あれは人の手には余るものだ……」

「衛宮くん……衛宮くんも欲とかあったんだね、わたしそこに安心した今。欲深くなれ、とまでは言わないけど欲求を持て、と言いたくなるぐらいだったから、衛宮くんは。
だからこそ衛宮くんらしいっていうか、なんていうかね。不思議だけど衛宮くんはそうじゃなくっちゃ困る」

「褒められてるのか馬鹿にされてるのかよく分からないが、一応は褒めてるっぽいから礼は言うぞ」

「手放しで褒めてる褒めてる。うーむ、それにしてもやっぱり雨ってのは好かないなァ」

「アマテラスも引き篭もりってぐらいの雨っぷりだもんな」

「普段は太陽信仰なんてないけど、こういう時ちょい仰ぎたくなるよね……なにかを触媒にして太陽に縁のあるモノを喚べないものかしら」

「はは、こっちに引っ張って来るのは出来たとしてと定着させるのは無理じゃないか?」

「百利ある。そもそもセイバーをこっちに定着させてるのも結構キツいんだけどね、わたしの実力じゃ。ステータス値が少し落ちてるし。
凛だったらステ落ちなしの召喚持続は可能だったかもだし、いやそもそもわたし魔術師じゃないのによくやってる方だよコレ。
というか、太陽に縁ある英霊ってそもそもそれは神霊だから召喚出来るのかな?」

「む……それはどうなんだろうな、反英雄としてなら女神だろうと召喚出来た前例はあるが、どうなんだ、その辺り今度遠坂に訊いてみるか」

「そうしよう。わたし達半端者ななんちゃって魔術師じゃなくて歴とした魔術師だし、答えてくれそう。
ああ、でも────それにしても」

「────依然として雨、土砂降りだもんなぁ……」

「衛宮くん、わたしちょっと錬金術師として卑金属から貴金属を精錬しようかと本気で思い始めたよ……」

「やめてくれザビ子、それは禁じ手だってお前が自分で言った事じゃないか……」

「でも、それで衛宮くんとひいてはわたし達が助かるなら良い事だと思う」

「でもそれは、今の社会のバランスを崩す事だって、お前が言った言葉だぞザビ子。
貴金属を精錬した所でそれは泡銭だ、身につかない金だ。良くない事だと俺も思う」

「……凛なら賛同するのになぁ────衛宮くんは真面目で生真面目で、そういう所、好きよ」

「っば、お前何をいきなり言ってやがんだばかっ!!」

「うっふふ、そもそもわたし錬金術師と言っても定着させる事しか出来ないから卑金属から貴金属を精錬させる事が難しいんだよねぇ。
成功率は一桁に届くかそこいらだし、そんな事に魔力と労力裂くぐらいなら古文書解読してたいって話」

「こいつ────ホントいい性格になったよなお前」

「さても? 偏にわたしの性根が浮き彫りになっただけかもよ?」

「…………。はぁ、遠坂といいザビ子といい、うちはどうしてこうも我の強い女の子が集まるんだか」

「衛宮くんのそういうニヒルな所に惹かれてやってくるって考えないのかなァこの子は」

「むっ。俺のどこがニヒルなんだよザビ子」

「教えてあげない。惚れた弱みをこれ以上増やしてたまるもんですか。
あーあ、わたしてるてる坊主とか作ったんだけどなぁ、効果ないなぁ」

「てるてる坊主とはまた随分と懐かしいアイテムを。小学校以来だなこういうの見るの」

「なんと雨避けの加護を有する曰く付きのモノを編み込んだ呪具だったりします」

「末恐ろしいてるてる坊主だな随分と!!??」

「そもそもてるてる坊主自体恐ろしいモノですからねぇ。そなたの首をチョンと斬るぞ〜って歌詞あるぐらいだし。
てるてる坊主って『坊主』なんて言ってるけど本当は尼さんだったらしいし、始まりが呪いの儀式だったから受け継がれてるのも簡易的な呪殺儀式なのよね」

「ザビ子はそういう関連は詳しいよな……」

「言ったでしょ、うちは始まりこそ陰陽道なんていう呪術や占術の技術体系なんだから。
始めにのろい有りき────うちの数少ない家訓だよ」

「なにそれ凄く怖い……」

「ちょっとなんで距離取るの!? でも遠坂に伝わるアレガ ン ド 撃 ちより具体的にマシだよ!?」

「……正直、どっちもどっちだと思うぞ、俺は」

「────っ」

「……ザビ子? ど、どうしたんだ、顔怖いぞ」

「いいえ。士郎のあんまりにもあんまりな態度にちょっとだけムカついたから、凛と協力して士郎を呪う算段立てただけだから。
安心して士郎。殺す気は無いけど、殺してくれって嘆願するほど酷い仕打ちしてあげるから」

「悪かった俺が悪かったから許してくれザビ子!! お前らがタッグ組んだら俺だけじゃ太刀打ちできないの知ってていってんだろお前ーーーー!!!!」





























































あなたの総てを照らす陽光になれたらと微笑う

「やーっと晴れたー!! 実に久しぶりのお日様燦々太陽燦々ー!! 天照大神ー!!」
「ザビ子、悪い報せがある。明日の天気は雨だし週末また台風来るらしい」
「ガッデム!!」


















































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あきゅろす。
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