星屑の煌めき
(イナGO/円堂)吾がめづたし御霊焉んぞ東雲知らんや
「キャプテ〜ン、ちょっと聞いてよー」
「おぉ、なんだ?」
「私達もさー気付いたら24じゃん?」
「そうだなーっ!」
「24っつったら、もう大人じゃん?」
「成人年齢はもうとっくに過ぎてるよな」
「なにやらキャプテンは所帯持ってるじゃん?」
「俺も大黒柱だってよー、参っちゃうよな〜」
「惚気とかマジ死ねよ。でさー、まあ、恋人や伴侶とか居ても可笑しくない年齢じゃん?」
「まあ世間はどうだか知らないが、ザビ子がそう言うならそうなんだろうな」
「私未だに独り身なんですけど。もう訳が分からないよね」
「訳は分かるぞ? 選り好みしてるからだろ」
「やだーキャプテン辛辣ー!!」
「ていうか、お前確か不動と付き合ってるんじゃなかったのか、その辺りどうなってんだ?」
「キャプテンその辺は触れないで」
「……」
「なにその微妙な顔。止めてくんない? その微妙に心中お察ししますみたいな顔止めてくんない?」
「お前ら、また別れたのか? 懲りないというか、飽きないというか」
「違うのよキャプテン聞いてよー、不動の奴が私に告っては別れを告げる簡単な作業を繰り返しやがるのです。
もう私も奴がなにをしてーのか皆目検討もつかねーのです、マル」
「不動も相変わらずだが、お前も相変わらずだよなー、いや、もうそこはめんどくさそうだからほっとくぞ?
────然し、今日はなんだって急に雷門中に来たんだ?」
「……」
「いや、察せないぞその顔からは」
「いやさぁ、私なんやかんやで家督を継いだじゃん?」
「随分古めかしい言い方をするな、家督ってお前……」
「まあその辺は置いとけ、一番しっくり来るんだよ家督を継ぐって言い方が。
でさ、この前色々用事があって母校に来たわけよ」
「おお、それで?」
「で、今のサッカー部とはどんなもんじゃいな、と思いサッカー部に立ち寄ったじゃん?」
「あ、そういや差し入れ美味かったぞ、ありがとな!」
「どいたまー。んでんで、サッカー部の練習風景を見ていた訳よ。
そしたら、まあ、私達の時より楽しそうな事になってんじゃん、サッカー禁止令とか諸々」
「楽しそうな事ってお前な……」
「キャプテンには死活問題か、めんごです☆
まあその辺りも良いよ。必死に練習する我らの後輩を見ていたら、とある子に目がいってね」
「うん、それで?」
「……話を最初に戻しますけど、キャプテン、私達ももう24歳じゃないですか。
24歳って言ったら大人じゃないですか、恋人や伴侶が居ても可笑しくない訳じゃないですか。
でも私は独り身なんですよ、恋人もまあそれっぽい存在は居たけどやっぱりアイツは私には御し得ないし。
…………こっから本題なんだけどねキャプテン。
キャプテン的に10歳の年の差ってどう思う?」
「あの────もしかしなくてもザビ子お前さ、サッカー部の連中のどれかに惚れた、とか言わないよな……?」
「ご、御名答……。あの、一年坊で背のでっかい子いるじゃん?
なんか苗字がカッコイー感じの、尖ってる感じがする子、あの子マジタイプだわ」
「────────・・・・・・」
「止めてくんない? その汚いゴミを見るような眼差しを私に向けるの止めてくんない?」
「とうとう……身内から犯罪者が出たか……なんてこった」
「まだ私なにもしてないからね!? 未遂、未遂だからね!?」
「しかし、一年で背のでかい奴って言ったら────剣城京介の事か?」
「そう!! 剣城くんだ!! 苗字カッコイーよね!!」
「身内から犯罪者が出たか……」
「だからキャプテンまだなんもしてないし、未遂、未遂だから!!」
「ザビ子、お前周りの男連中に相手にされないからって、限りなく犯罪に手を染めるなんて関心しないぞ……」
「キャプテン私が一番分かってるのよ……不動とは巧く行かないし、ていうかアイツがなにしたいのか分かんねーし。愉快犯かお前は。
ねぇねぇキャプテーン、嘗てのソウルメイトの頼み事聞いて叶えてくんなぁい?」
「練習や試合に支障を来さなければな、協力しないこともないぞ。
ソウルメイトはさて置き、幼なじみの頼み事だしな」
「さっすが守、話が早いにゃー♪」
「まあ、今後の我が家の夕飯に招かれてくれるならな」
「夏未ィィィィィィィィ!!!!」
「いや、泊まり掛けという手段を用いるか」
「夏未ィィィィィィィィ!!!!」
「人の嫁さんの名前を絶望的に叫ぶな」
「絶望の象徴ですやん夏未の料理。ちょっと待ってよ守、私が作るってのはダメなんかそれ。
ヤだよ夏未ポイズンを喰らいたくないんだけど」
「最早勝手知ったる他人の家だもんな、夏未も料理教わってるのになんでなんだろうか……」
「夏未マジック。泊まり掛けでも良いから私が飯提供するぞキャプテン。
久々に夏未に料理教えてあげるよ、まあ成果は見られないが……。
ていうか、マジ取り繕ってねキャプテン、私の恋を応援しなさいよ」
「素直に有り難うを言えないな……ああ、取り敢えず今から剣城と話し合えば良いだろ。
────────おーい、つる……」
「待ってーキャプテン待ってー私まだ心の準備出来てないィィィィィィィィ!!」
「もが、ふがふが」
「また後日、日を改めて化粧とかもナチュラル系にして出直すから、服とかもこんないかにもどうでもいいやって服じゃなくてちゃんとした服にして、その日に剣城くんと話し合いって話し合いてそもそもなにを話し合うのよ!?」
「ふが、ふがふがー」
「あ、ごめん」
「っぶへぁ、じ、地味に死ぬかと思ったぞ……」
「めんごです☆」
「謝る気ゼロか」
「だってキャプテンがいきなし剣城くんを呼び出ししようとしてんねんもん!!
そりゃ流石のザビ子ちゃんもキャプテンの口を両手でバッテンを作るように構えて下から思い切り塞いじゃいますよってからに!!」
「危うく窒息死しかけたわけだが」
「だから悪かったって謝ったじゃん。
そりゃねキャプテン、私と剣城くんとの仲を取り持って欲しいとは言いました、ええ言いましたよ?
でもそんな性急に事を進めなくても良いんでないの?」
「……お前のそういう所、まるで変わってないな」
「うるへー、どーせ私ゃチキンですよ、変化を拒みますよ!!」
「はいはい、チキンでも竜田でも良いから今度また日を改めてここに来いよ」
「勿論さー。日程とかはキャプテンが決めて良いからさ、私合わせるから」
「はいよ。じゃあその時また連絡寄越すよ」
「その日を楽しみに待ってるわー。
いやぁ────それにしても、剣城くんあの見た目でついこの間までランドセル背負ってたんだよねぇ……最高、そそられる……ぐへへ」
「もしもし警察ですか」
隴を得てなにを望む。
「やべー私ついにイケない道に走りそうだわ」
「中一に惚れてる時点で人としての道を踏み外してんだろ」
◆ ◆ ◆
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