星屑の煌めき
(復活/骸)吹き荒れる水の如く
「……今年もこの国は暑いわねぇ」
「日本の夏が暑いのは当たり前ですよ、ザビ子」
「分かってるわンなこたァ、毎年毎年暑くなってくのが私は辛いの」
「今年は平均35度が続きましたね」
「因みに。平年並みの『平年』が近い年のになったからね、35度じゃ酷暑って言われなくなった昨今」
「その内日本国は爆発するんじゃないんですかね」
「ちょいと、骸さんや」
「なんでしょう、ザビ子」
「なんで君はそんなに涼しい顔してるの」
「心頭滅却すれば火もまた涼し、ですよ」
「うわムカつくなにそのどや顔殴りたい」
「すぐ暴力に訴えるのは女性としていかがなものかと思いますが?」
「うわムカつくなにそのフェミ殺したい」
「…………ザビ子。手遅れなんですね」
「骸さ、あなたは人の神経を逆撫でるのが好きよね」
「クフフ……そんな事はありません。僕は平和主義ですから」
「平和主義な人はマフ○アぶっ潰そうだなんて考えません」
「…………」
「まあ、そう考え至る経緯を私は知ってるし、っていうか経験してるからさ、これに関しちゃもうなんも言わない」
「それが賢明な判断ですよザビ子」
「っていうか暑い」
「……そして物語は振り出しに戻るんですね。
これは個人的にではありますが、無限ループって怖いですよね」
「それはとても終わらない夏休みだね。私はそんな世界に訴えられる能力がないので出来ないけどね。
涼しくなりたいのよ私は、なんかないものかね」
「ふむ…………ない事もないですが」
「涼を取りたいのよ私は、もう手段なんて選ばない」
「それではザビ子、外に出ましょう」
「は? 外ぉ?」
◇ ◇ ◇
「ザビ子、こっちです」
「こっちって……黒曜ランドの出入り口じゃん、別に涼を取れるモノなんてモルスァッッ!!??」
「クフフ、隙だらけですよザビ子、そんなに隙だらけではいつ死んでも文句は言えませんよ」
「…………いや、完全に油断した私も悪いけど人の顔面に躊躇なく水ぶっかけるか普通?
しかもそれホースの先に水量調節出来るヤツがついてるよな、ジェットってトコに合わせて私の顔面狙ったよな?」
「惜しい。正解はスプラッシュでした」
「うるせぇよ。ていうか、そっかレジャー施設の出入り口付近てだいたい水道があるよね一本。
ここもその例外に漏れることなくあったんだ……そしてそれをなんの忠告もなしに人の顔面狙ってくる奴って最低だと思うんだけど骸はそう思わない?」
「さあ? まあ隙だらけなザビ子が悪いって事にしておきましょう。
お誂え向きに、ここには出入り口を挟んで両端の一本ずつの水道があります。
その両方にホースを繋いでおきました、勿論水量調節可能です」
「ははぁ……なる程。骸の割には気が利くじゃないか……。
要するにあれだろ────補給の要らない水鉄砲でお互いを撃ち合うって事か?」
「クフフ……その通り。涼を得られ、注意力の促進にもなりますでしょう。
日頃から注意力散漫のザビ子の為に誂えたトレーニング兼娯楽だとでも思って下さい」
「いいねぇ。私骸のそういう所大好きだよ……最高にそそられるっ!
ルール無用、日の入りになったら終了でいいね?」
「構いませんよ。因みにザビ子はもう1ダメージ喰らっているので僕にプラス1ポイント加算されます」
「なにそのとってつけた様なルール、じゃあ私不利じゃん!!!!」
「ザビ子も精々僕を狙い撃てば良いんですよ。
僕よりポイントが高ければハーゲンダ○ツの好きなアイス奢ります────まあ勝てれば、ですがね? クフフ……」
「乗った。それじゃあ────────スタートだ……!!」
日の暮れた頃には二人共ずぶ濡れ。
「……ザビ子さん、骸様。なにしてるんですか。今がいくら夏だからといって夕方過ぎてまで水遊びなんてしていたら、いくらお二方が阿呆だとしても風邪を引きます……。
……早く風呂に入って暖かいモノを飲んで体を温めて下さい。この時期に引く風邪は厄介なんですから……」
「なんだか千種、お母さんみたいだね」
「……ザビ子さん、アイスなんて体が冷えた状態で食べないで下さい。お腹下しますよ、女性は身体を冷やしては駄目なんですから……」
「次は負けませんからねザビ子、再戦を誓いましょう」
「……骸様。そんな小さな子供がやるような遊びをやらないで下さい。今年でおいくつになられたんですか……」
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