星屑の煌めき
(銀魂/銀時)進化しないボクら
「銀時。お前さ冷蔵庫に入ってたミルクチョコプリン冬季限定ミックス知らね?」
「いや、知らねーな」
「ふぅん……因みに、お前、唇のここん所見てみ」
「ここ? どこよ」
「そこじゃねーよ、ここ、こっち……いやだからそっちじゃねーって……もう良い。いま私が取ってやるから動くな」
「悪ィな。全然見えねぇから見当も付かねェ」
「いま取る────────動くな、よ」
「────えっ……」
「んっ…………甘い」
「……へいちょいと待ちなさいザビ子ちゃあん?
い、いま君はなぁにをしたかな、そこんとこお兄さんに詳しく!?」
「はぁ? なんだよ急に……銀時の唇の端っこ辺りにあった私のプリンを食ったっつー動かぬ証拠を舐めとっただけだろ。
こう、ぺろんって、ヨ○シーみたいなニュアンスで?」
「いや舐めとった、じゃねーよ! お前急に変な事すんなよ、柄にもなく銀さんびっくりしたよ、柄にもなく銀さん焦ったよ!?」
「そんくらいでガタガタ騒ぐな、生娘かお前」
「きむッ…………お前は女としての恥じらいはないのか!?」
「あるよ。今のは相手が銀時だったからやったんだ。他の男にはしないよ。
人並みの恥じらいはある、なんか文句あっか」
「────ない、です。…………ザビ子のヤツ、たまーにこう、こっちが照れる事をサラッとすっからいけねー……」
「所で────この甘ぁ〜いクリームを味る限り、お前が私のスペッサルプリンを食べた事は確定だな?」
「あ。やっべしくった」
「テメェ……なぁ銀時、この私が最も嫌いとする事はなんだか、知ってるよな?」
「ギャー、悪かったってザビ子!! 俺が悪かった、だから怒らないで下さい!!」
「私はな銀時。騙されるのが一番大嫌ェだ。嘘吐くヤツも大罪だ」
「新しいヤツを買ってくるので許して下さい、本気で悪かった」
「次はないと思えよ銀時。次やったら────お前、ツブすよ」
「マジでか」
「マジです」
「本気ですかね」
「本気ですとも。買うなら4つ買って来いよ銀時。
どうせ食べるならみんなで仲良く食べたい。一人だけで摂る食事ほど不味いものはない」
「んなこと言ってザビ子おめーあのプリン一人で食おうとしてたじゃねー、KAッッ☆」
「…………なにを囀る、銀時?」
「イエナニモッ!? …………おま、男の勲章を何だと思ってやがんだ……!!」
「どうせお前のは使い道がないだろ、なら砕いたって支障ない。
さて。取り敢えず憂さ晴らしは済んだ、私は出掛けてくるぞ銀時。留守番頼んだ」
「ぁ〜? 出掛けるって、今日なんか予定あったのか、お前」
「あぁン、銀時には伝えてなかったか?
昨日、真選組副長様直々に仕事の依頼があってな、それでちょっとの間帰れそうにないからって、定春に昨日伝えたんだが……はて?」
「いやはて? じゃねーよ、絶対伝わる訳ねーよんな伝言ゲーム!!
逆にそれでよく伝わると踏んだな、お前メルヘン!?」
「煩ェな、騒ぐなよ。私はこれから風呂入って化粧して着替えて来なきゃなんねーんだ、そして時間はなかったりする。
土方はお前と違って時間に煩いからな、早めに動かなかゃなんないの」
「永遠に伝わらない伝言ゲームもツッコまなきゃならねーポイントだが一番のポイントはそこだ!」
「どこだ?」
「真選組の副長ってお前、土方だろ」
「うん」
「…………駄目だ。行かさねー、行かせらんねぇ」
「はぁ? 行かさねーって、なんでだよ。別に銀時には関係ないだろ、お前の意見なんて知ったこっちゃねーよ」
「関係なくなくねーよ…………俺は、お前のなんだよ」
「雇い主」
「いやそうだけどそっちじゃねーよ!」
「……あ〜はいはい、銀時は私の────────嫁?」
「お前いい加減にしないと流石の銀さんも怒るぞ」
「はいはい、お前は私のコイビトですねー。これで満足かコノヤロー」
「分かってんじゃねーか。なら俺が今怒ってる理由も分かるよな、ザビ子?」
「知らねえよ…………というか、銀時は時々変なトコでガキだから、私凄く困る」
「ガキで結構。お前が関わると俺も形振り構ってなんねーの、柄にもなく青臭いコト言っちまうのよ」
「馬鹿だろ死ねよお前……もう、時間がねーって言ってんだろ、離せよこのバカ」
「やーだね。離したらお前、大串君トコ行くんだろ? させねーよ、あんなマヨラーの所に行ったらザビ子までマヨラーにされちまう」
「……マヨラーでも、どっかの天パよかきちんとした収入と職業と肩書きを持ってっけどなぁ〜?」
「ぐっ……正論過ぎて言い返せねぇ。
でもな、それとこれとは別だな。わざわざ敵に塩を送るわけにも行かないだろう」
「は? いやていうかマジでいい加減離してくんねぇ? 時間に間に合わなくなるんだけど」
「…………ヤダね」
「心配しなさんな、報酬はたっぷりと要求してあっから、暫く家賃滞納しなくて済むぞ。
序でに、土方さんの弱味を見つける絶好の機会だ、それをネタに後々強請る時にも使えそうだぜ……? ククク……」
「ヤだこの子真っ黒だわ!」
「それに、私は意外と一途なんだぜ?
アンタはもっとドンと構えてりゃ良い。私は坂田銀時以外を伴侶に選ばないさ」
「────────」
「私にはさ、銀時がどんなにぐうたらな死んだ魚の様な目をしていて万年金欠でだらしがなくても、そんなアンタが世界でいちばん格好好く見えんだよ。
もっと自信を持て。
お前は、お前が思ってるより私に愛されてるんだっつぅ事を、鼻にかけていいんだからさ」
「ザビ子……お前男前だな、ちょっと聞いてるこっちが照れるんですけど」
「────今だ、隙有りっ」
「あ゙」
「はっはーんだ、お前は詰めが甘ェんだよ!
じゃあな私は然らばこれにてー、依頼に赴いてくっからな〜ん!」
「だぁぁ、してやられた!! くそ待てザビ子、ヤツのトコにはぜってー行かせねぇぞ!!」
お互いがお互いを想い合う。
私がお前を大切に想ってる気持ちに、嘘偽りなどはない。
それをいつか、誤魔化さずにちゃんと伝えられたら良いなと考えている。
お前が世界でいちばん大事だ、ってな。
「素面じゃぜってー言えねーけどな!」
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