星屑の煌めき




(復活/骸)奇蹟みたいな話




「…………む」

「どうかしましたかザビ子、その様に難しい顔をして首を傾げるなんて……珍しく考え事でもしているのですか?」

「六道くん……いや、ちょっとね。考え事にもならない下らない思案をば……」

「?」

「……例えばの話。私は普通の女の子で普通の家庭に生まれて普通に生きる。
そして君も普通の男の子で普通の家庭に生まれて普通に生きる。
犬も千種も、皆みんな同じ普通に生きる事が出来る……これらの可能性は、有り得るのかなってな?」

「クフフ。なにをそう真剣に考えているのかと思えば、そんな下らない事だとは……」

「だから最初に言ったろう。下らない思案をしてたと。六道くんは人の話を聞いてましたかな?」

「クフフ、ザビ子の声ならどこに居ても聞こえますよ、ちゃあんと、ね……?」

「どっかで聞いたなそんなセリフ回し、ま、いかにも胡散臭い君には似合っていますが」

「それは褒め言葉、として受け取っても宜しいのでしょうか?」

「手放しで無条件で褒め言葉だよ。まあ君にしては三下っぽい感じだけど、嫌味にしか聞こえないけど、褒めてますよ」

「実は全くこれっぽっちも褒めてないのを気付いてますかザビ子」

「そんな事より。私はね六道くん、実は普通に生きる事を望んでいたのだよ」

「普通。……変わらない事、普遍的な事、『変わらぬ事が大前提にある一般論』、僕には一生縁の無い単語だ。
そんな下らない妄想をして、何が愉しいんですか、ザビ子?」

「六道くんはロマンがないねぇ……。
人は有り得ない事を空想・想像する事で自らの足りない部分を補うっていう究極の自慰能力を誰しもがみィんな持っているのさ。
空想するのはその人の自由、誰も侵してはならない領域。
想像するのはその人の自由、誰も侵してはならない神域。
絶対不可侵の領域、それが私にとって『普遍的に生きる』という浅はかな妄想だって訳さ、お分かり頂けましたかな?」

「実にザビ子らしい言葉ですね、クフフ……貴女のそういや所、僕は嫌いではありません。
然し、急にそのような感傷的なコトを考えるだなんて、一体どうしたのですか?」

「……」

「? ……ザビ子?」

「人はだね六道くん。時にセンチになる時もあるのだよ。
その時期は個々によりけりだが、大抵の場合は“自らの限界”を悟った時、人は感傷的になるんだと私は考える」

「……自らの限界。それは“自らの能力的限界”を指しているのではなく、“霊長として存在する限界”を指しているんですか」

「無論。だけれど私にそれは適応されないよ、何故なら私はまだまだ存命してやるからね。
もう一つ。人が感傷的になる場合があるんだけど……よもや君には不要だろうから説かないでおくよ。
そんな事より、少し散歩に出掛けないかな六道くん」

「え、出ていけって言ってるんですかそれ」

「なんでそう悲観的ってか卑屈なのかな君は!?
違うよ、少し私と一緒に散歩しませんかって言ったのだが!?」

「嗚呼……そうでしたか。すみません、僕の早とちりでした。
それでしたら、喜んでご一緒させて頂きたく思います。僕で宜しければ」

「私はね、六道くん“で”じゃなくて、六道くん“が”良いんだよ」

「クフフ、それはとても光栄なコトですね……それでは参りましょうか」

「おぉ……流石伊達男の国イタリア出身、さり気なく人の手を奪うのが早業で巧妙でビックリする……。
まあ、お陰で退屈しそうにないけれどね」










































私と僕の出会いの確率は数%。

よもや私に人を愛する感情なんてモノがあったなんて、奇蹟だな。
人が感傷的になる時は『死を覚悟した時』と、『誰かを愛した時』なんだって事を、どうやって遠回しに君に伝えようか?














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