星屑の煌めき




(無双/清正)正直者の生き方




「暇だァァァァ。……あ、一句詠めた。────退屈だ、嗚呼退屈だ、退屈だ」

「うるせぇぞザビ子、暇なら口開くな手を動かせ、馬鹿」

「ちょっとソレ酷くない、だって清正が構ってくんないから暇だし退屈なんだぞ私は。
良いじゃん仕事なんか三成に任して私達は遊ぼォよ〜」

「俺は今、忙しい。構って欲しいなら三成ん所にでも行け」

「今日の気分は三成じゃないのだ、清正に構って欲しい気分なのだ。
因みに、正則は初めっから頭数に入っておりませんのでご了承下さい」

「じゃあ軍師共ん所でも行けばいい、寧ろ行け、俺に構うな引っ付くな羽交い締めをかけるな鬱胸しい」

「軍師殿はお忙しいよーなので。
つーか先刻行ってきたよ半兵衛サマん所っ、そしたら『ごめんねぇ俺にそーゆー趣味はないから。清正辺りのトコに行けば?』って断られた」

「あの軍師……面倒事ザビ子を俺に押し付けやがったな……!」

「因みに官兵衛殿は口も利いてくんねーの、酷くね?」

「そうか。じゃあなにも豊臣コ コに拘る必要もないだろう、同盟国である武田や上杉、貿易相手の四国に行きゃいいだろ」

「嫌だよ。私は清正と一緒に居たいって言ったデショウ。
武田にも上杉にも四国にも、清正が居ないんじゃ私は行かないよ。
私はね……清正にとって、秀吉サマが全てなのと一緒で、私にとっては清正が私の全てだから。
私という伽藍洞ガランドウな世界を埋めるのは『加藤清正』という大きな存在しかないんだから」

「…………」

「あやや? どったの清正、顔スッゴく真っ赤だが……なした、仕事のし過ぎで熱でも出た?」

「……今日は良い天気だからな。暖かい通り越して暑い位だし、ソレの所為だろう」

「うん、そだねー。今日はとってもあったかいよね。
こーんな天気の良い日に部屋に閉じ籠って仕事ばっかやってたら頭痛くなるよー。
だから、ね、清正〜、お散歩見 廻 りがてら城下に行こーよ〜?」

「……仕方ない。こうしていつまでも引っ付かれている方が鬱胸しいし、お前の言う事を聞いている方が面倒臭くなさそうだ。
あと半刻待て、それまでにコレを終らせてやる」

「ぅわーい、清正とお出掛けだ〜、きゃっほー!
楽しみだなぁ楽しみだなぁ、私着替えてくるね〜!」

「────ハァ……やっと静かになった、これで漸く真面に仕事が出来る。
然し……あの馬鹿、いきなりなにを言い出すかと思えば……恥ずかしい奴め。
……ま、そんな俺も馬鹿なんだろうな…………あの馬鹿に惚れてるだなんて、タチが悪すぎて笑えやしない……」

「オォォォォォイ清正ァ、なあ今暇かー!? なら俺と剣の稽古でも……あり、清正どうした。顔、赤いぜ?」

「煩い、正則馬 鹿には関係無い。それと俺は忙しいから剣の稽古は独りでやれ」

「うえ、なんだよそれェ、清正横棒だぞ!」

「……それを言うなら『横暴』だ馬鹿が。
はぁ、なんでこう、俺の周りは馬鹿しかいないんだ……?」

「わっほーい、清正ー、私の方は準ッ備ッ万端だよーって、あるぇ、なにゆえ正則がここに居るの」

「うわッザビ子? なんだそのカッコ、孫にも衣装だなギャハハー!!」

「喧しい戯け、燃やすぞその毛」

「んだよザビ子、この俺が褒めてやってんのにその態度はネーだろ!」

「なんて馬鹿な正則……あまりにも馬鹿過ぎてどっからツッコんで良いのか分からないけど全部言っとくぞ。
この着物は秀吉サマが私の為に態々誂えてくれたモノで大変高価な代物なんだ、私のお気に入りでね。
秀吉様も大変喜ばれた出来で、三成も褒めてくれた。
それと、『孫』にも衣装じゃなくて『馬子』にも衣装だかん、ねっ」

「うわぁッッ!!?? なにしやがんだザビ子、いきなり短刀を投擲すんなよっぶねーな!」

「さてさて清正〜、半刻経ったよ早く出かけよーぉ!!
こーんな莫迦は放っておいて早く行こぉ?」

「あー……分かったから手を離せ、そんなに俺の腕引っ張ったって移動速度は変わらないだろ。
とゆー訳だ正則。お前は留守番頼むな。
待てってザビ子、俺は逃げたりしねーから手ぇ離せ馬鹿」

「嫌〜だよォ、今の私の気分は清正くんと手を繋いでいたい気分だからね〜。
それに城下は賑わってるし、人で溢れかえってるしで、はぐれたら大変デショ?
私達の仲じゃん、今更手の一つや二つ、繋いだトコで照れない照れない♪」

「照れてない、歩きづらいだけだ。なんで俺がお前と手を繋いだだけで照れなきゃならないんだ、この馬鹿が。
前と足元だけはしっかり見とけよ、猪ザビ子」

「あはは、気をつけマース♪」

「……ハァ、中身の伴わない返事をするな、馬鹿が」






















































素直に自分の気持ちを伝える彼女。(気持ちをひた隠しする彼)

「うわぁ、ちょお見て見て清正! この帯刀、反りと刃紋が綺麗じゃない?」
「嗚呼、確かに綺麗だが……女が欲しがるモンじゃ無いだろう……」
「あ、清正こっちの脇差は無反だよ! 斬り甲斐がありそうじゃない(主に正則)」
「そうだな。取り敢えず向こうの小間物屋に行かないか?」














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