星屑の煌めき




(銀魂/銀時)その背を求め続ける




「銀さん銀さん」

「あん? んだァザビ子」

「もちょっと歩調狭めて歩いてくんね?」

「なんでよ」

「お前の二歩は私にとって四歩なんだよ」

「ビバ身長差ー」

「ドロップキックかましてやろーか? あん?」

「へいへい。わぁーりやしたよ…………こんぐれーか?」

「うん、何故更に歩幅を広げた? ぶっとばすぞ、お前更に酷くなってっぞ? お前の三歩が私には六歩なんだが?」

「あー、悪ィ悪ィ」

「よっし、そんなに私が好きか。しゃーねーな、ちょっと待ってろその隙だらけの背中に天誅を下すわっ!!」

「悪ィって言ったじゃねーか、多少のお茶目ぐれー多目にみろや」

「我慢ならんわ貴様の茶目っ気は、鬱胸しーしうざったいんだが」

「あ。あそこに新しく甘味処が出来てら。ちぃっと寄ってこーぜ」

「銀さん。人の話は最後まできちんと聞きましょーって松陽先生に習わなかったか畜生」

「今なら期間限定で半値で甘味が食えるそーだ」

「急げ天パ、他の客に奪われてなるものか!」

「従順、甘味には従順! あとおめー段々口が悪いっつーか誰が天パだゴラァ、人の気にしてるトコロを思い切りアイアンクローすんな!」





◇ ◇ ◇






「ごっそさんっした! ッあ〜、お腹いっぱーい。美味かったなぁ、特に大福の餡子。
あの絶妙な煮具合い……私が今まで食べてきた餡の中でピカイチだわ、うむうむ」

「ご馳走さん。あの絶妙なあんこの甘さ……盪けそうだ」

「そのまま盪けて消えてしまえ」

「お前もそのまま小豆と一緒に煮られてしまえ」

「お姉ぇさーん、チョコマン追加で」

「まだ食うのか!」

「ザビ子ちゃんは鉄の胃袋と鉄の肝臓を所有しとるけぇ、まだまだ食う」

「勘弁してくれよザビ子……俺、今日金持ち合わせてねーんだよ」

「今日? “いつも”の間違いだろ?」

「はいそこ口を慎むよーにっ」

「金の心配は要らねぇよ。昨日ちょいとした臨時収入があったからな、あ、序でに秋の三色団子も六本追加で」

「なにその黒い笑顔、超不安なんだけど!? 絶対アレだろそれお天道様に胸張って言える事じゃねーやつだろ!?」

「なにを馬鹿な…………ただちょっとお願いをしただけさ。
『退くん今日給料日だよな、幾らだった? 何も言わず取り敢えず九割私に預けろ』────ってな?」

「おいそれ恐喝だろ、つかなにお巡り相手に恐喝してんだおめー捕まりてぇのか!?」

「その点は大丈夫。なんの為に私が隠密機動頭なんて七面倒臭ェトコに所属たと思うよ?」

「聞きたかねーよンな真っ黒い話」

「他人の秘密を握りソレをネタに揺する為に決まってる」

「オイ、俺今聞きたくねーって言ったろ。
なんだそのどや顔ムカつくな、あとそれ普通に犯罪だから普通にバレたら捕まるぞお前」

「私はそんなヘマをしない。したとしてもソイツの秘密を暴いてやる……そして冤罪に持ち越し損害賠償として高額金を訴えて勝ってやる」

「もう警察組織の元トップがこれだもんな、江戸はもうお終いだわ。
あ、お姉さ〜ん、小豆パフェふたっつ追加でー」

「あ、テメ私に金があると知った途端に元値高いやつ頼みやがったなコンチクショー。
駄目だパフェは圏外。値段が安い団子か饅頭にしなさい」

「ケチケチすんなよ、どうせ大枚持ってんだろ、なら良いじゃねーか」

「持ってっけど……これ先月の家賃と先々月の家賃の金だからあんま使えないんだけど」

「げぇマジでか。まあ良いか。あ、白玉善哉天照SP一つ」

「あ、ソレ私も食いたい! お姉さんソレを二つで! 以上です」

「畏りました〜、少々お待ち下さい」

「さってと────突然ですが銀さんにお話しです」

「おう、なんだいきなり真面目な顔しくさって……財布忘れたとかいう類は却下な」

「安心しろ。んなドジっ子な事ァしねーよ多分。
いやはや。とても下らない話ではあるが、一つ耳を傾けてはくれないかな?」

「あ? んだその芝居がかった口調……おめーがそう話す時ゃ大概がどうでも良い話なんだよなぁ。
ま、ムーデ○ーの様に右から左へと華麗に受け流してやらァ」

「古ィよその一発家芸人、いやまあ私はあの良い感じに低い声とか好きだったがな。
まあ、それこそ下らない話だな。
短刀直入に言うとだな────────私は結構儚せだよ、と言いたい」

「────あ?」

「こういう風に、お前と肩並べて歩いたり。
こんな風に、お前と下らない事で喧嘩したり。
今みたいに、お前とこうやって甘味をつつける事が。
“嗚呼。幸せだなぁ”って思えるんだよ」

「────────」

「……ま。これも偏に私が安定した収入のある仕事に就いたからである訳で。
銀さんが家を追い出されずにいるのも、こうして甘味が食えんのも、全部ぜーんぶ私のお陰っつーね!」

「おま、途中まで良い話だったのになにこのがっかり感!!」

「お待たせしました〜。チョコマンと秋の三色団子と白玉善哉天照SPと小豆パフェです」

「おー。何かスッゲー豪勢っ! 団子三本やんよ、おら」

「おーう、ありがとよ…………橙、白、緑……うん。確かに秋の三色団子だな」

「はむ、んむんむ……っまい、甘さ控え目な白玉善哉天照SP、これめっさ美味い」

「あん? んだよザビ子、白玉食わねーのか、だったら俺が頂くぞ」

「え、や、ちょ、待っ……!!!!」

「んむ。────美味い、この程良い弾力といい絶妙な砂糖加減といい……この甘味処は中々な穴、ばッッ!!??」

「テメ、このやろ巫山戯るな私の白玉勝手に食いやがって……!!
鼻フックそ れだけで済んだのを光栄に思えコノヤロー!!
ゎ、私の白玉ぁあ…………銀さんの穀潰、クズ、社会の塵、不燃塵!!!
別れてくれ、それか死んで私に詫びてみせろォォオオォオオ!!」

「いやあのハナフックも地味にキツイんですが、テメザビ子コノヤローたかだか白玉の一個や四個、勝手に食ったからなんだってんだ!!
俺はそんな下らない理由で別れたくないです!」

「下らなくねーよ、私にとっちゃ死活問題宜しく今後のお前との付き合い方に激しく関わってくんだが!!」

「よしちょっと待て、そんなに別れたいなら俺と別れたい理由を三つ述べろ!」

「甲斐性無し、万年無一文金欠、足臭い」

「最後の一個以外をなんとかするから何とか思い直してくれ!」

「寧ろ最後の一個が重要だぞ? 銀さんの足の臭さは一個小隊を全滅させっくらいキツイからな。
さてと。んな下らない言い争いも飽きたし、そろそろ帰るか」

「ちょっ、待てやゴラァまだ話は済んでねぇぞ! お前が俺と別れたい理由を三つ言うなら俺はお前と別れたくない理由をひゃっこ道中、聢と聞かせてやらァ!!」

「うーわ、鬱胸しい」












































君たすボクの最大公約数を説こう。

「バカだな、アンタと別れるだなんて、冗談だっつの」
「あぁ? なんか言ったかザビ子?」
「なんも〜? 銀さんのセクハラにはもう堪えられないって言ったのさ。
ってかなんだよ『お前たす俺』って……セクハラで訴えるぞ」


10/10 銀さんハピバ!















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あきゅろす。
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